「すまないね」
それからすぐの三日後、九代目がうちに来た。単身一人でひどく申し訳なさそうに。
「いえ、でも綱吉君はまだ」
「そうか…」
「傷の手当は一応はできるんです。でもきっと何かのスイッチが入るんでしょうね。触るなとでも言うように私達を遠ざけて部屋の隅にうずくまってしまったりもして…」
「それだけ精神面での傷がひどかったのだろうな」
誰一人として会話をしようと彼はしない。来た時から何も変わりはなかった。ただ生きてる、それだけ。
手当が出来る時だって私達を見てはいない。ただ身体を任せている、そういった感じ。
「とりあえず会話ができるくらいになるまではこちらで預かります」
「本当にすまないね…」
「かまいません。未来では私の子がお世話になりましたから」
「本来ならこちらで預かるべきなんだが…ありがとう」
綱吉君はボンゴレの候補から外された。父親がボンゴレ関係者だとしても、綱吉君はもうボンゴレに属してはいない。九代目が最後まで反論したそうだけど、反論虚しく除籍処分。九代目が反論しているということもあって仮らしいけど。
未来で起きたことは私は知ってる。他の者達は知らないけど。
会話ができるまでと言ったけども、それ以降は私達にもわからない。綱吉君がどうしたいかに私としては委ねたい。決めれるだけの精神があれば、だけど。
「ところで綱吉君がここにいるのを知ってるのは?」
「私と、私の側近のみだ」
「門外顧問は…?」
「言っておらん。嘘にしろ本当にしろ、綱吉君の噂がたったことで本人の何かしら心当たりがないだけであるんではないか、ということでな」
「父親なのに」
「そうなんだがね…」
残念そうに九代目は顔を曇らせた。信用していない、と言ってはないだけマシとは思うけどそれはどうなんだろうかと私は思う。きちんと調べないのも。
「調査に関しては難航しているんだよ…恥ずかしい話なんだが」
「あ、いえ。すみません」
顔にでていたのだろうか。先に言われてしまった。
「一度綱吉君に逢わせてもらえないだろうか?」
「……ええ」
逢わせたところで何か変わりはあるのだろうか、いやないだろう。きっと九代目もわかってる。自分の知っていた綱吉君がいないことなんて。
どうぞ。と客間から綱吉君のいる部屋へ連れていく。九代目がいることに何も知らないうちの者はざわつくけど、きっと後で誰かが説明するだろう。わかるけどね。ボンゴレはうちと同盟を結んでいないのだから。
「ここです」
部屋の前に立って確認するように言えばゆっくりと彼はうなずく。それを合図に私は扉をノックした。
「入るわよ」
がちゃりと開ければ変わらず綱吉君は窓際に座っていた。こちらを見るでもなくやはりただ前を見て。
「綱吉君…」
それは寂しそうにぽつりと九代目は呟いた。
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ボンゴレと同盟結んでませんよね?
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