翌日から朝早くから叩き起こされ、三十分近くかけて変装の準備をしてリボーンと共に学校に向かった。オレがコンタクトと格闘している間に何故だか奴も仮装していた。

「聞いてもいい?なにしてんの」
「お前の保護者は俺だぞ?」
「オレの保護者、赤ん坊かよ…」
「うるせぇ」

どこからともなく出てきたハリセンで叩かれた。ぎゃっと小さく悲鳴を上げて、リボーンをよく見る。変装していてもやはり赤ん坊で、リボーンだ。周りは何故か騙されているが、オレにはそれは疑問で仕方ない。
並中に近づくにつれて重くなる足どりではあったが、いつも以上にリボーンが饒舌に喋るから少しばかり気分も紛れた。気を使わせてしまっているのが、頭の片隅で理解していたが頼る他なかった。

「…行くぞ」

並中の前まで来ると足が止まった。これから通うと言うのに。顔も少々強張り、リボーンもその事に気付いていたのだろう。オレの顔を見ながら、声こそ大きくはなかったが喝を入れるようにそう言った。
大丈夫。バレやしない。一番自分を見慣れているオレ自身が別人だと感じるのだから。
そう自己暗示をかけるように必死に頭の中で唱えた。いつまでも門の前に立ち尽くしてはいられない。じっとりとした汗を拭い、気合いを入れる為にも両頬を叩いた。

「よし!」
「行けるな?」
「うん。行くよ、オレ。」

まず一歩。踏み出さないと状況は変わらないし変えられない。変えるだけの材料は揃っているのだから、やらない選択肢はない。
朝早くからの葛藤と不安を胸に、久しぶりの並中の門を二人でくぐった。




 



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テーマ「人外ファンタジー」
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