久しぶりに戻ってきた日本。なんだか少しの間なのに新鮮に感じる。こう感じられるのは少し余裕ができた証拠だろうか。

「大丈夫か」
「うん、なんとか。ちょっと怖いけど」
「心配すんな。家には戻らねぇしな」

戻らない、と聞いて少しだけ驚いた。

「なんて顔してやがんだ。当たり前だぞ?お前の居場所もなくなって、いない間にどうなってるかすらわからん場所に戻すわけないだろーが」
「あ、そうなんだ…」

ごろごろとキャリーを引きながら行くのは見たことのある景色。この道は並盛に向かっているのに、どこへ行くとこの小さく頼れる彼は言うのか。

「並盛のはずれにホテルをとってある。九代目と相談してそうしたんだ」

もうすぐ見えるぞと言われ、確かに見えた。あまりこんな並盛の外れ近くまで来ないから、こんなところにホテルがあったことすらも知らなかったけれど。

「…オレ、たくさんの人に助けられてる」
「最後には恩返ししろよ」
「最後?」
「ボンゴレ十代目」
「ああ…」

今ここでそれは嫌だと言うのは場違いであるとは容易に理解できて。あまりにも空気を読めていない気がしてやめた。そうだねぇ、なんて返すのが精一杯。
そんな感じで辿りつく、目的地はほらもう目の前。




 



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