彼がいなくなってから少し寂しいようだ。私もだけれど、野猿やγのようにファミリー達も何か物足りないように見える。
「静かね…」
ぼそりと呟いた言葉に、側で武器の手入れをしていたγが苦笑いする。
こうして執務室で仕事をしていても何かしら賑やかな声は聞こえていた。野猿だったり太猿だったり、他の面々にも相手をしてもらっていたためだ。時折野猿と何かやらかしてしまって、誰かに追い回されていたりもしたようだ。と言っても彼は野猿に巻き込まれていた、の方が正しいかもしれない。
「もうあいつが帰って三日か」
「そうね…早いものだわ」
「結構長くいたし、溶け込んでたからな」
「彼の順応性は高いみたいよ」
帰る頃にはすっかり溶け込んで、また来いよなんて言われていた。ボンゴレの次期十代目だというのに。
「……綱吉君は大丈夫かしら」
トラウマなんて一度植え付けられたら早々消えはしない。そんな中でまた同じ繰り返しにならないかと少し不安になる。はらはらさせられる、とでも言うのか。
「大丈夫だろ」
「あら。即答?」
「あいつには今味方がいる。前と状況が違うんだ。それになんとなく乗り切れそうな気がする」
「勘?」
「半分くらいは」
でも、確かにそうかもしれない。今はリボーンもいるし、絶望的な未来ですら彼は必死になって変える事ができた。いくつものピンチを乗り越える事は彼はできたのだから。
「そうね。きっと大丈夫ね」
「信じてやろうぜ」
「もちろん。信じているわ」
少々辛くても笑う事ができる彼だもの。
もしもがあっても、またジッリョネロの面々は受け入れるだろう。しかし私はそうならないことを願ってγに笑みを向ける。
丁度その時ノックがされた。
「ボス、幻騎士が戻ってきました」
「ありがとう。今行くわ」
するりと私達は立ち上がり、任務から帰った幻騎士の元へ向かう。報告は受けていないが、怪我はしていないらしいとのことで安心しながら進んだ。
綱吉君、日本でやれるだけ精一杯おやりなさい。
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ジッリョネロから旅立ちました。
次から舞台は日本です!
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