その日一日は早かった。イタリアンマフィアについて色々とリボーンに教えられながら、それでもやっぱりボンゴレが一番なんだと言われた。すごいなあ、くらいしか実感が沸かない。
アルコバレーノについては多くは語らなかったけど、その日の仕事を片付けたアリアさんと昔話、と言っても大半ルーチェさんの事でリボーンが盛り上がっていた。珍しいと思いながら聞いているしかできなかったけど、それはジッリョネロの面々も一緒らしい。
「行ってくるぞ」
少し仮眠のような睡眠をとり、朝日がギリギリ昇るような時間。小さな身体で身軽に彼はそう言った。
「ん、行ってらっしゃい」
まだ眠い目を擦りながらオレはそう言った。寂しくないなんて言えやしないし、不安や心細さはかなりある。それでも彼はオレの為に動いてくれているのだから、オレはそれを止めることはない。
「心配すんな。一緒に終わらせに帰んぞ」
「わかってるよ。大丈夫だから」
もしも、だってリボーンにもあるかもしれない。だけどリボーンだから、と言えば何故だか安心できた。
レオンを乗せて、ニィと笑うリボーンは何一つ変わらない。オレはただ行ってらっしゃいと送り出すだけしか今は彼に何もしてやれない。
「ちゃんと体力戻しとけ。でねぇとオレが戻って来た時にねっちょり扱かなきゃならん」
「ねっちょりやだー。できたらレベルアップもしとくよ」
「そこは期待せずにいるから安心しろ」
「ひどっ!」
他愛ない一つ一つの会話がやはり嬉しい。
もうきっと大丈夫。いつまでもちんたらと甘えてばっかじゃいられない。できるだけ、やれる限りは自分の足で立って一歩進まなきゃ。
ベットからにっこり笑ってリボーンを見据えた。
「リボーン、気をつけて」
無理はしなくていいから。いってらっしゃい。そんなオレの思考を読んだのか、彼は満足そうに笑ってボルサリーノを深く下げる。
「ああ、行って来る」
ぼそりと呟き、そのままの状態で彼は部屋を出て行った。
一人残された部屋。とりあえずまた少し眠ろうかと横になる。でもあまり寝付けそうになくて、朝日が差し込む部屋のまだ薄暗い天井を見つめていた。
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