綱吉君のやるべき事に私達が協力できるなら協力するわ。それだけ言って彼らを部屋へ帰した。

「はあー…」

やるべき事や、意欲的になってくれるのはこちらとしても嬉しい。それには身近にいた、そう。リボーンのような存在があってだとしても、彼にとって力になるはずだから。
夜風に当たろうかとバルコニーに出れば涼しい風が吹いていた。

「決まったのか?」
「…ノックくらいしなさいよ」

振り返ればγが煙草に火をつけていた。肩をすくめながら隣にやって来る。

「したけど反応なかったからな」
「ごめん。考え事してたわ」
「いいけどよ。で?」
「決まったわよ。リボーンは明後日には出るそうみたい」
「早いもんだな。坊主はなんて?」
「頷いたわ」
「そうか」

紫煙を吐き出しながら頷く彼も、私同様綱吉君を気にかけていた一人。だからやっぱり気になるんだろう。

「優しすぎる」

ぽつりと私が呟けばγがちらりと私に目線をくれた。

「優しすぎるのよ」
「坊主か?」
「ええ。戻りたいって言ったの。彼を裏切った仲間と、また一緒に笑いたいって」

できるできないじゃない。したいって言うの。一般人とか、マフィアとか関係ない。普通の感覚で言えば二度と会いたくないとか言うもんじゃないの。私はそう思わずにはいられなかった。

「なんつーか」
「マフィアに向いてない?」
「ああ」
「私もね、最初はそう感じたの」

ただ初代の血を引いてるからなんてあまりにも横暴なんじゃないか、とか。
でもそれだけなハズがない。あの九代目がそれだけの理由でただの中学をマフィアに、それもボスなんてするはずがない。穏健派のボスの中でもトップクラスの彼が。

「だけど、だからこそかもしれないなって思った」
「ん?」
「優しいから、優しすぎるからこそ九代目は彼をボスにしたいんじゃないかって」

なにかを変える力があるのかもしれない、そう期待を込めて。そう考えれば納得できなくもなかった。
くすりと私が笑えばγも頭を掻いて笑って。

「それと、似てっからな」
「似てる?」

誰にと聞けばボスに、なんて返された。似てるのかしら。私と綱吉君。

「例えば俺達がマフィアじゃなくてボスが俺達に裏切られたとする。どう思う?」
「考えられないけど、戻れるなら戻りたいって思うかしら…」
「ほらな。一緒じゃねえか」

ああホントに。そうかもしれない。
なんとなく照れ臭くなって私は笑ってしまった。


 



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -