「どうしたい、ですか…」

あまりにも漠然とした言葉。あまりにも範囲が広すぎる。
どうしたいか、なんて正直な話オレ自身まだあやふやだ。ただわかっているのは、いつまでもこのままじゃいけないということ。それだけだ。

「そう。君は色々決めなくちゃいけない」

わかってる。皆に頼って甘えてたって、それはオレが動いたから。流されたって同じこと。じゃあ。他のことだって結局はオレが、オレ自身が自分のことは決めなくちゃいけないんだ。

「……自分がどうしたいかっていう、明確なビジョンは見えてないんです」

実際はそう。わかってたって、いけないって思ってたってわからないし見えない。薄い靄がかかったようにはっきりとしないんだ。

「…君、は」
「ツナ」

アリアさんが口を開こうとすれば、被せるようにリボーンが開いた。真っ黒な瞳にオレは捕らえられて、何もかも見透かされているような気さえする。

「どうしたいか、とアリアは言ったがな。決めなきゃいけねぇことは決まってんだ」
「なにそれ?」
「一つ目。獄寺や山本、お前のファミリーの処罰」
「処罰!?」
「当たり前だろーが。テメーのボスを裏切ったんだ」
「でも、」

処罰なんてオレにはできない。どんなに辛くても、オレには皆と過ごした日々が楽しくて綺麗な思い出だから。仲間を処罰なんてできやしない。

「でもじゃねーよ。ただちょーっと違和感があったから俺が調べてみるけどな」
「違和感、か…」
「思い当たることがあるの?」
「わからないけど、確かに言われてみれば違和感がありました。表現はできないけど」
「調べてみる。それとお前はこれからあいつらとどうしたい?」

どうしたい。信じてもらえると思ってたけど、信じてもらえなかった。それは違和感だけでなく、オレが甘かったのかもしれない。
それでもオレは信じたい。楽しかったこととか、一緒に乗り越えてきたこととか。それをオレは信じたい。嘘じゃないって信じたいんだ。
そしてもう一度。

「できることならまた皆と笑い合いたい」
「無理かもしれんぞ」
「それでも、初めてできた友達だったりするんだ。また一緒に笑い合いたい」

驚愕の視線を向けるアリアさんと鼻で笑うリボーン。どうせ甘ちゃんと思ってんだろうな。とか思っていれば声に出していわれた。

「だがそれでこそお前らしい」

オレらしいってのがよくわからなかったけど笑っといた。

「もう一つはね、貴方を陥れた女の子のこと」
「素性はマフィアだ。今ボンゴレに同盟話を持ち掛けてるらしいがな。九代目は乗り気じゃねぇらしい。どうも臭うんだと」
「麻薬とかで怪しいってこと?」
「そうだ」
「それも踏まえて、の話になるかしら。殺すか捕らえるか、それもまた貴方次第なのよ」

ありえないような物騒な話にオレは頭を抱えた。


 



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テーマ「人外ファンタジー」
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