アリアさん達に話をしてから一週間。オレが回復したと聞いて九代目も来てくれた。ほっとした顔をして無理はするなと、ゆっくり休みなさいと言ってくれた。そうやってオレを気遣ってくれるのが何より心に染みる。
療養とアリアさんが言ったように、のんびりとしながら順調に回復してるみたい。みたいと言ったけど、オレもそれは実感してる。身体の傷はだいぶ塞がったし、痣も消えたり薄くなった。身体も当時よりかなり軽い。体重的な意味でなく。γいわく「前より笑うようになったな」だそうだ。
記憶がちらつくことがないわけではないけど、アリアさんやγ、太猿、野猿なんかいった者達が賑やかに毎日話かけてくれたり、賑やかにしてくれるからかもしれない。たわいない会話でもすごくそれは嬉しかった。

「なー、後でさあ、あ……」
「…どしたの?」

野猿が部屋のベットでごろごろしてる。オレのベット。なんでオレが座らされてんだよ。オレの疑問にも答えないし。

「なあ。なあって」
「ちょっと黙ってろ」

命令口調はびくびくするから止めてほしい。気付いた彼は悪いと謝ってくれるからいいんだけど。野猿はむくりと起き上がってどうやら聞き耳をたててるようだ。なんなんだよ。

「……騒がしいな」
「え?」

言われてオレも耳をすましてみた。最初はわからなかったけど、どうやらざわついてる。確かに騒がしくなってる。
何事なの。と聞けばわからねぇ。と返された。予期せぬことらしい。外に出るのは恐いから、オレ達はドアに張り付いて耳をまたすましてみた。

「待って!ちょっと待って!」
「とりあえず止まれ!」

アリアさんとγの声がする。誰かを止めていることはわかる。でも誰を。顔を見合わせてみても野猿もわからないらしい。
それどころか何やら騒がしさが近づいてる。まさかここには来ないだろうとオレ達はまだドアにへばりつく。

「待ちなさい!」
「お前が今行っていいかわからんだろうが!」
「お前に会うことで動揺する可能性とてある!」
「……せぇ!」

幻騎士が言葉を発して、続く聞きとりにくい声。加えて銃声が響いた。まさに何事だと野猿は臨戦体制に入る。
一大事なのかとオロオロするオレを余所にドアノブに手をかけて外の様子を伺っているらしい。オレはなにも出来やしないけどドアについたまま何故か離れられなかった。

「ここだな」足音が前で止まった。割と高い声がして野猿がドアを開けようとしたその時だ。
どでかい音がしてドアが吹っ飛んだ。ついでにオレ達も後ろに飛ばされた。倒れた身体を軽く起こせば小さな人影と呆れたアリアさんや驚愕してるγと幻騎士。オレも野猿も呆然としてれば、小さな人影はにやりと笑った。

「やっと見つけたぞ」










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二章ー!
小さな人影はもちろん彼です。

野猿は若干ベルと似てるイメージ←

 



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