その夜、オレにジッリョネロファミリーを紹介すると言った通り大きな宴のような感じで紹介された。見たことある顔ぶれが他にも少しだけあって、なんとなくほっとした。彼らはオレを知らないのだけれど。
「沢田綱吉君。今日意識が戻ったばかりだから、あまり無茶なことしちゃ駄目よ」
おずおずとぺこりと頭を下げれば雄叫びのようにオレに向けて言われた。良かったな坊主!さっさと傷癒せよ!ほんとにガキだな!なんて色々。皆笑顔で、オレは心地悪さなんかは感じなかった。
「うちのファミリーに入んのか?」
割といかつい顔をした太猿がオレにそう言った。いや、とか言ってまごついていればアリアさんが違うわよとオレの肩に手を置いた。
「彼は預かってるの。事情はまたそのうちね」
「ほーう」
特に腑に落ちないといった感じではなくて、オレを見てふっと笑った。
「ま、いいんじゃねぇの」
太猿がそう言ったけど、きっと太猿だけじゃない。皆そう思ってるとアリアさんが後から教えてくれた。だから今は何も聞かないのだとも。
それはとても今のオレにはありがたいことだったけれど、それはつまりいつかは聞くからねという言葉の裏返しのような気がした。もちろん何も言わず置いてもらうなんて甚だおかしいことだとわかってはいるけれど、それは少し、辛いと思う。精神的に。
「ま、あまり食べれなくても少し楽しみなさい」
優しく微笑むアリアさんにオレはハイと頷いた。
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