食事中も私は綱吉君と一緒にいた。一緒にいても会話すらできなかったから、話ができるのが嬉しかった。他愛ない話でもとても。

「ごちそうさまでした」
「あまり口にしてないから流動食になるけど、少しずつ慣らしていきましょう?」
「はい」

食器を片付けようと手を伸ばした。その時小さな、小さな声で彼は私をを呼んだ。

「オレ、どうしてここに?」
「…九代目がね、貴方をここに連れてきたの」
「九代目が?どうして……」
「それは私にもわからない。ボンゴレの超直感か、はたまた誰かが知らせたのか」
「誰かが…」
「そう。心当たりある?」
「…いえ」

目を伏せる姿は痛々しいとしか言えなかった。何があったかと逸る気持ちはあるけれど、それは今は抑えよう。

「来た当初はね、衰弱しきっていたのよ」
「……………」
「身体の傷もひどかったし、会話もできなかった」
「そう、ですか」
「ええ。ずっと座って壁を見ていた」
「記憶にないです…」
「でしょうね。私達が呼んでも反応もしないし、焦点は合ってなかったもの」

肩を落とす彼に何を見ていたの、なんて聞けるはずなかった。彼にとっては辛い記憶を見ていたのだろうと予想はできる。そうでないならもう少し反応は違うはずだもの。

「…オレここに居ていいんですか?」
「いいわよ。ユニがお世話になったし、私ができることはそれしかないもの」
「ユニがお世話にって、え?」
「ふふ、知ってるわよ。未来で起きたことは」
「そうなんですか…」
「だから好きなだけいなさいな」

ね。と笑えばありがとうございますと小さく彼は言った。

「さあ!今日は皆に綱吉君を紹介するわ。皆ちょっと個性的だけどいい人達よ」
「え、でも…」
「怖がらなくて大丈夫。少し口は悪い人もいるけどね。それにきっと見たことある顔があるから。でも相手は君のこと知らないけどね」
「あはは、そうですよね」

そう弱々しく笑う彼に心から笑える日が来ることを私は願いたい。
事前に皆には私から色々と言っておくから。まだ全てを聞くには早いから。だから怖がらなくていい。


 



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