話しなんてしたこともなかった同級生に、沢田君最近変わったよね。なんて言われて、そりゃ変わるよなあ、とか思いながらそうかな。なんて返したのがきっかけ。そこから何故かその女の子はオレによく話しかけるようになってきた。小耳に挟んだことによれば、そこそこ可愛い部類らしい。オレは一度も可愛いと思ったことがないんだけど。
そして昨日。全くオレには縁がないことが起きた。その女の子から放課後呼び出されての告白。なんのドッキリかと思えば本気だったらしくて驚いた。でもオレは好きな人いるから、って断ったんだ。「私じゃ駄目なの!」なんて言われてもオレはごめんとしか言えなくて俯いていた。どんな表情したらいいとかわからなかったし。
そう、なんて引いたかのように見えた彼女だったのに何故か眼が合った途端寒気がして、鳥肌がすごい。居ても立ってもいられなくなって、踵を返して立ち去ろうとすれば聞こえたんだ。

「ふざけんじゃないわよ。ってさ。眼もあったし、寒気もあったからこれはまずいと思ったんだけど怖くなってその日は逃げ帰ったよね」
「で?それとこれがどう繋がる?」
「今日ね、一回目に意識が消えかけた時にお嬢になんちゃら、って聞こえたんだ。お嬢て、とか思ったけど。でも考えたらオレ蔑まれても女子からは恨まれてはいないと思うし」

言ってて悲しいけど、多分事実。獄寺君とか山本絡みで恨まれてるかもしれないけど、そんなボコボコにはしないだろう。だからその女の子が言った言葉と繋がるのって今日のことしかないかなって思うんだ。
一通り話しを終えれば苛々を隠さない獄寺君と笑っててもどこか怖い山本とは対称的にビアンキとリボーンは暗い顔をしていた。

「誰だよ、その女子」
「や、でも、オレの推測でしかないし…彼女って決まってないから、さ」

そう。推測なんだ。決定的な証拠などないんだ。オレの勘でしかない。

「推測でも十代目には超直感というものがあるじゃないですか。超直感は外れません」
「勘だから外れるときだって多分あるよ!」

ぐい、とベットに二人が乗り出して来て白状しろよ、みたいに凝視してくる。なんでオレは壁側へ追い詰められているんだろうか。間違っていたら悪いし、とかごにょごにょ言っても聞こうとしてくれない。
助け船を出してくれよ。リボーンをそんな期待を込めて見れば二人よりも強い目線。期待は崩れた。

「超直感なめんなよ?間違いでも黙ってりゃわからねーんだ。調べてみるから名前言え」
「そうよ。黒か白は調べてハッキリさせればいいわ」

所詮四対一。それもこんな四人にオレが勝てるはずもない。
ぼりぼりと頭をかいて、乗り出した二人を座らせて、姿勢を戻してから出るため息。諦めて折れなきゃいけないのはオレのようだ。

「隣のクラスの、赤崎さん。赤崎華乃っていう女の子」



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