退屈な授業中。ロクに聞いていない授業。開いたノート。ただ書き写す黒板の文字の羅列。左で頬杖をつきながら前をぼんやりと眺めて。
相変わらず睨まれているのはわかるし、獄寺君も山本も彼女を睨んでいる。
実害はたいしたことがないから、と放置していたのが駄目だったか。オレもいい加減イライラしてきた。哀れみの視線も、なにもかも。普通に暮らしたいのに。

「メンドクサイ」

パキリとシャーペンの芯が折れた。もう嫌だ。度を超えた過保護も、意味のわからない言い掛かりも、哀れむような視線も。
彼女に苛々しているのはオレだけじゃない。過保護な彼らも、だ。鬱憤晴らして終らせてやろうじゃん。



「と言うわけで、もうオレは嫌だ」
「ざっくりした感情論ですね」
「沢田はともかく、どうして君達までいるの」
「雲雀さん、それはね。一番ここが楽だから」

昼休みの応接室。オレがお願いして次期ボンゴレ十代目関係のたまり場となっている。ぐるりとソファに見知る連中が座っているんだ。
一番機密が漏れることも少なそうだし、漏れても雲雀さんが握り潰してくれそうだし。骸を入れるのはかなり嫌みたいだけど。

「これ以上十代目に何か起こっては大変ですからね!」
「まあ忠犬と同意見なのは嫌ですが、僕の綱吉君が傷物にされるのは腹が立ちますね」

何か起きません。起きても無傷だ。それに僕のって言わなかったかこのパイナップル。だれがお前のだ。オレはオレのもんだ馬鹿野郎。

「僕のって、どういう事?」
「そうだぞ!沢田は皆の沢田だ!」
「骸のツナなわけないのな」
「そうです沢田は皆の沢田です。つーかオレは誰の物にもなりません。そして骸の発言の一部はスルーしてください。論点はそこじゃない。山本、時雨金時に手をかけない置け」

話し合いってできるのかよ。誰かもう一人まともなツッコミくれよ。オレ一人で捌ききれないっての。

「で?どうするんだよ?」
「山本の切り替えの早さ好きだよオレ。どうしたい?オレとしては金輪際関わるなと言いたい」
「じゃあ武力行使でしょう」
「彼女達のお家もマフィアだからね」
「話し合いの通じるマフィアもいますよ?」
「あの子達に通じるのかい?」
「無理だろーな」
「じゃあ決まりか!なら早速」
「行かしませんよお兄さん」

さあ行こうとでも言いたげに立ち上がるお兄さんを無理矢理座らせる。直結しすぎなんだよ。
決まったのは武力行使という、力を見せ付けることだけであって他は決まってない。

「いつ、どんな風にって決まってないでしょ」
「今日」
「今すぐに」
「今夜はどうだ!」
「はい今夜」

急すぎるだろ。すぐですか。どんなけ苛々してんだよ皆。

「それから本人達を拷問にかけて」
「却下。他は?」
「どうしてですか!僕は綱吉君にあんなことやこんなことをされたのが許せないのですよ!」
「十代目にあんなことやこんなこと…?」
「何されたの」
「されてません。変なこと言うな考えんな。される前にどこからか飛んで来るじゃないですか、あんたら」
「沢田にもしもがあっては極限に困る!」
「もしもがあったらオレは何するかわかんねーなあ」
「笑い事じゃないよ山本。やめようね。話し合いを進めるよ。今夜どうする?」

二歩進んでは一歩後退して。無理矢理にでも進めないと話は進まない。オレ関係になるとそうだから困る。
もっと簡潔にさせてくれ。



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -