オレさ、平然なように見えて凄い我慢してきたのさ。男子のクラスメートには半分ネタにされるし、女子からは大変だね、とか沢田ってトラブルメーカーなの、とか厄介事によく巻き込まれるよね、とかさ。
身近にいる奴らは過保護に磨きがかかってきていて、それはそれでオレの頭痛の種だったりするし。リボーンに鼻で笑われてる事がこんな気楽だとは思いもしなかったよ、まったく。

「すみません十代目!今日は十代目が早く出るとは知らずに…」
「言わなかったからね。いいよ別に」

教室でオレの姿を見るなりすっ飛んできやがった。後ろににこにこ笑った山本も見える。
だって朝からうだうだと大袈裟な心配を聞きたくないし。小言にしか聞こえない。

「おはよー、ツナ!体大丈夫かよ?」
「おはよ、山本。傷一つないよ」

あんたらがオレより先に手が出てるからね。本物のマフィアにビビるなんてないもんね。いい度胸してるよ本当。
椅子に座り頬杖をつきながら、ちらりと見れば二人とも良かったといった風貌。ため息一つくらい出してもかまわないよね、こんなの。

「ちょっとどういうことなの沢田君!」

ああ、来た。トラブルメーカーはこいつだ。
教室に入るなりオレに向かってくるか普通の女子が。警戒心剥き出しの獄寺君と山本君が見えませんか。猫なら全身の毛、逆立てながらフーフー言いそうな二人がいるってのに。

「なんのこと?」

それでも律儀に返すオレ。偉いよね。

「私の妹に手を上げたでしょ!」
「はあ!?十代目がそんなことするわけねーだろ!」
「ツナが女子に手を出すわけねーのな」

オレの反論なしかい。オレの反論の前にお前ら言うのかよ。信頼されてるって有り難いけど、これはなんかその、過度ってやつだ。

「あんた達には言ってないわよ!沢田君に言ってんの!」

きぃっと睨まないでください。だいたい昨日そんなことしてる暇ないっての。リボーンにみっちり勉強させられてたって。
なんだこの女!なんて獄寺君が言い返すから二人の口論になってるよ。山本、茶々入れないでよ。
オレの周りで三人で立ち上がったまま口論、いや口喧嘩しないでください。沢田大変だな、って目で周りから見られてるの気づいて欲しい。大変なんです。

「あーもう!頭の上で煩い!やってないし!」
「嘘よ!泣きながら帰ってきたもの!」
「オレが知るか!」

あ、素が出た。出るわそりゃ。
まだ何か続けようとすれば教師が入ってきて一旦終了。毎日元気だよね。教師も慣れるはずだよ。
席につけー、という教師にありがとうと感謝の意を込めて拝みたい。しないけど。
三人はしぶしぶ自分の席へ。それでも獄寺君、山本は彼女、赤崎さんを睨んでいる。一方彼女はオレを穴があくんじゃないかってくらい睨みつけている。でも一番悲しいのはクラスの大半から送られる視線。沢田頑張れ。ダメツナ絡まれ過ぎだろ。なんていう生温かい視線。
誰かこいつをなんとかしてください。



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