ひとしきり泣いた後、オレは言葉を探しながらも話しだした。泣いている間も何も言わず、ただ微笑んでオレの隣のブランコに腰掛けていた。

「もう、皆オレを信じてくれないんだ」

嘘つき呼ばわりされて、もう嫌だと泣き言を言って。徐々に彼女が言う言葉はエスカレートしていくから、オレはわけのわからない暴行を受けて傷ができて。顔だけはまだ少ないのが幸いだ。

「いつ頃からだ」
「二、三日前。転校生は一週間くらい前に来た」

あの転校生さえ来なければ。いくらそう思ったかわからない。でも望みは叶わない。

「……重なるな」
「え?」
「ボンゴレの同盟ファミリーに不穏分子があるという噂をきいた。核心はないが、確かにとあるファミリーが日本に飛んだんだ」

それがだいたい一週間ちょい前だ。そう父さんは言った。

「でも噂って」
「噂だが、時期が重なる。んなもん怪しいだろ」

あっけらかんと。でも目は真剣だった。

「調べてみる。雲行きが怪しくなるようならチェデフで調べるか」
「信じてくれんの…?」

怖ず怖ずと尋ねればきょとんとした顔をされた。そして豪快に笑われた。夜だよ。近所迷惑だよ。

「俺の子だぞツナは!信じるさ!」

誰にも信じて貰えないと、そう思っていた。だから誰も頼れないと。オレは一人ぼっちなんだと。
そんなことなかった。信じてくれる人がここにいた。ろくでもない父親だと思っていたけど、やっぱり父親は父親だった。

「ありが、とう…」
「辛かったなー。とりあえず俺のいるホテルで身体の傷、手当てしようか」

こくこくと頷いてまたオレは泣いていた。オレこんな泣き虫だっけ。でも止まらないんだ。嬉しくて、ありがたくて。

「少し休め。ゆっくりすればいい」
「…うん」

ブランコから立ち上がり、促されるまま父さんの泊まっているらしいホテルまでタクシーで。並盛だと面倒なことがありそうだから、と隣町の黒曜だった。
部屋につくなり手当てを受けて、他愛もない話をして、心休まったオレは眠気のあまり視界もぼんやりとしていた。ベットに座っていても揺れる身体。限界だったらしい。
そんなオレに気付いた父さんが寝ろ、なんてにかりと笑うから更に気は緩んで。ベットに潜り込むなりすぐに意識を手放した。安心させようと微笑む父さんを視界の端で捉えて。

「あー、バジルか?オレガノとすぐにでも日本に飛べる準備しといてくれ。ちっとややっこしいことになりそうだ」



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