旅行だと沢田綱吉5歳は家族でイタリアにやってきました。
一年くらい前に会ったおじいちゃんにも会いに。
「やぁ綱吉くん。元気だったかね?」
「おじーちゃん!うん!ツナ元気だった!」
「まあツッくんったら」
おいでと手を広げるおじいちゃんに綱吉は抱き付きます。そんな様子をお母さんの奈々は、いつものようににこにこと見守っていました。
「おじーちゃん、今日はいっぱいあそんでくれる?」
おじいちゃんは綱吉と会うといつも綱吉と遊んでくれます。だから今日もと、眼をキラキラと輝かせていました。
「残念だけど今日は遊べないんだ」
「あぅ…しょーなの?」
ごめんねと謝るおじいちゃんですが、綱吉はとても残念そう。ちなみに綱吉は普通より少しとろくさく、舌ったらずです。
「だけど今日は綱吉くんと遊んでくれるお兄さんがいるから」
「おにぃ…ちゃん?」
「そうお兄ちゃん。彼が替わりに遊んでくれるよ」
「ほんと!」
「もちろん本当だよ。別の部屋にいるから会いに行こうか」
うん!と先程までの残念がった様子はどこへやら。すっかり眼はまた輝いています。
「あの…大丈夫ですか?」
「なに、きっと心配ないよ」
母親の奈々は心配そうです。何故なら綱吉は、懐くまでほんの少し時間のかかる子ども、いわゆる人見知りというやつでした。
「でも…」
「彼は大人だ。問題ないだろう」
不安げな奈々におじいちゃんは微笑みかけます。それに奈々は少し安心したようでした。それは何故か綱吉は大人には懐きやすい、ということもあるからでしょうか。
「じゃあ綱吉くん、お兄ちゃんのところへ行こか」
「あいっ」
「奈々さんはここで待っていてくれるかね。直、家光が来る」
「はい」
にっこりと微笑んだ後、おじいちゃんは綱吉にさぁ行こうと、床におろして背中を押しました。
今いたお部屋から廊下に出ると、綱吉はおじいちゃんに尋ねました。
「ねぇねぇ、おにーちゃんはどんなのなの?」
「どんな、かね。そうじゃな、ちょっと怖そうに見える格好良いお兄ちゃんだよ」
「ほへー」
外見だけで中身は言ってないじゃないか!など突っ込む人は誰もいません。それどころか綱吉は自分が人見知りなのをすっかり忘れているようです。あるいは好奇心に勝てないのかもしれません。
「さぁここだよ」
少し歩いてつれて来られたのは、立派そうなドアの前。この屋敷には立派そうなドアか扉しかありませんけどね。
中に入ると大きな部屋。大きめなベットと二人掛けのソファと机、おもちゃが置いてある広い部屋でした。おもちゃはおじいちゃんが買ってくれていたものです。
そこに真っ黒な人がベットに座っています。
「リボーン」
リボーンと呼ばれた真っ黒さんはちらりとこちらを向きました。今になって人見知りを思い出した綱吉は、ぎゅっとおじいちゃんの足に隠れるようにしがみつきます。
「この子が綱吉くんだよ」
しがみつかせたまま、いつもの笑顔でおじいちゃんは綱吉の頭を撫でます。
綱吉はそのままリボーンを、リボーンもまた綱吉を見ました。
それがリボーンとの出会いでした。