クロームと別れてオレは一人屋敷内を歩き回った。至る所に血はついてるわ、銃弾戦の跡があるわでぐちゃぐちゃ。倒れてるのは殆どボンゴレの人間だった。
これといった恨みつらみはないけども放置して進めば屍の上に立つという言葉がぴったりな感じで、相手を探す雲雀さんと出くわした。

「雲雀さーん」
「…終わったのかい?」
「終わりましたよ。つーか、こっちも終わりですか?」
「みたいだよ。もう出て来ない」

そりゃ仲間が咬み殺されんの見てりゃ出て来ないだろうよ。被害かっくらうの嫌だろうよ。それも守護者で返り血が大量で、仲間だと思っていた人間がやってるんだからさ。
まあでも事実終わりのようだし。爆音もなくなってる。銃声はまだ少しだけ聞こえるけど後二十分すればそれもなくなるんじゃないかね。

「一足先に出ます?」
「そうするよ。咬み殺せないならいてもしょうがない」
「ははっ!雲雀さんらしいや!」

それじゃあとわざわざ内部から出口に出るのは面倒だったから、近くの窓から飛び降りた。二階だったからかオレ若干着地失敗。なんで格好つかないかな。やっぱドジなのかな。隣に降りた雲雀さんは絵になるようにしなやかだと言うのに。

「君やっぱりどこか鈍臭いよね」
「知ってるんで言わないでくれますかぁ!」

わかってるよちくしょう。昔からこれは本当なんだよくそう。
ボンゴレリングは雲雀さんにも持っててもらうことにした。回収しなくていいだろ多分。顔をしかめたからオレが指にはめてることに若干疑問は抱いたようだけど、何も言わなかったからオレも何も言わなかった。
敷地の出入口に適当に腰を降ろして雲雀さんと雑談してればベルやスクアーロから中にはいないと言われ、支部の連中も終わったと言った。最終ザンザスからクーデターの終わりが告げられた。雲雀さんはそれを聞いてさっさと帰って行った。

「お疲れー」

しばらくすればオレを見つけた幹部連中がやってきた。立ち上がり、ぽんぽんと泥か砂かを払って声をかけた。外から見てればいたるところに火が上がり、消えた跡があるね。暗いけどまだ火が上がってる箇所もあるからちらほら見える。

「ああ」
「あれ、ヒバリは?」
「終わりって聞いたら帰ってったよ」
「アイツらしいなぁ」
「雲雀さんだかんね」

あの人はやっぱりあの人で、成長しても根本は変わらないんだもん。

「ねぇ。火、どうすんの?」
「ししっ、全焼させるか」
「それ屋敷だけじゃ済まなくなるよ」
「マーモンの言う通りだぁ。今うちの部隊が消火に当たってるぜぇ」
「便利なこったなー」

周りも考えたらそうだろな。雨の属性すげぇ便利じゃん。

「さてと、ザンザス。こっからも少し大変だぜ?新ボンゴレ建設。元々ヴァリアーだからツテはあるだろうけど」
「あるに決まってるだろ。やれる事をやる、それだけだ。テメェもな」
「えぇぇえ!?まだオレ何かやんの!」

なにそれ聞いてない知らない。待て待って。何させんだよ。

「当然だろ。テメェの計画でもあったんだ。表企業はそのままジジイの息子として俺が継ぐし、色々と軌道に乗るまでは働いてもらう」
「まじかよ」
「頑張れよツナヨシ」
「他人事だと思いやがって!いいよなベルは!ベルだけじゃないけど!」
「じゃあもうヴァリアー来なよ?」
「やだ」

マフィアにならないとオレは日本からイタリアに逃げて、表の世界ではなくとも情報屋をして生きてんだ。ヴァリアー入ったらすべてパァじゃねぇか。

「強情だな」
「昔からだろぉが」
「よくご存知で」

譲れないとこには頑固なのですよオレは。それは本当に昔から。マフィアになるくらいなら協力してやるよ。

「とりあえず一旦戻るぞ」
「あいあいさー」

引き続きスクアーロは自分とこの部隊に処理をさせて、マーモンもそれの手伝いで。ベルんとことオレとザンザスはヴァリアー本部に戻ることにして、あらかじめ呼んでた車に乗り込んだ。
こうしてオレの何年もの間ボンゴレから身を隠すという逃亡劇に終止符が打たれた。これでオレはもう逃げる必要なんてなくなったんだ。ヴァリアーの協力要請はあるけど逆に情報屋としてのバックアップもしてくれるようだし。ありがたい。
ああ、オレは少し自由になりました。












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終わったクーデター!
ボンゴレというか
死んだはずだけど
悪女さんに見つかれば利用しようと
彼女はきっと目論むので
それからの逃亡ですけどね。

 

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