放っておいても結末は一緒だろうから、終わらせてあげないとね。

「まっ、待って!」
「終わりだ」

攻撃してこないとわかるとオレはザンザスの真後ろから一歩横にずれてその光景を眺める。喚く女の頭めがけてゆっくりと、しっかりとなんの表情には変わりもなく引き金を彼は引いた。彼女は小さな断末魔を残して横へと倒れる。その倒れた彼女が首から下げていたボンゴレリングをザンザスは引きちぎった。
一連の出来事はまるでスローモーションかのようにオレの目に写っていた。終わりだよ、ボンゴレはこれで。

「終わったね」
「ああ」

発狂したかのような声をあげて動かぬ赤崎に駆け寄る連中を無視してザンザスにお疲れと声を駆けた。少しだけ顔に返り血ついてるし。
ボンゴレリングはと聞こうとすれば血のついたままオレに投げてきやがった。うん、なんでだ。

「お前のもんだ」
「いやいやいや。オレんじゃねーし」
「元々はお前のもんだろうが。持ってろ」「血ついてるし、いらねー」
「カスが。テメェみたいな炎を受け止められるリングなんざ滅多にあるもんじゃねぇんだ。つべこべ言わずに持ってろ。それはお前以外にジジイしか扱える人間はこの世にいない」
「うげー。へいへい」

また戻ってきやがったし。ザンザスの言う通りなんだけども。そういえば昔聞いたけど、ボンゴレリングはどこへ行こうと本来の持ち主に帰るとか帰らないとか。しょうがない。使えるものは使いましょうか。
軽く手で拭き取ればボンゴレリングは濁りきっていた。本来の持ち主じゃなければこうも変わるもんなのか。まだ若干血はついていたけどそのままオレは指に嵌めた。嫌というほどしっくりくるね。

「お前ら…!」

そんなやりとりをしていれば、血走ってこそいないが物凄い形相で彼らが睨んできた。うは怖い怖い。

「極限に許さん!」
「許すという立場じゃあないでしょ」

許す立場はこちらであり、あんた達は許される立場。きっかけはそこの女が作り出し、オレはザンザスのクーデターに力を貸したそれだけ。計画やらを練ったのはオレですけど。マフィアなんて世界に身を置いたからいけないんだよ。マフィアに裏切りはないわけないだろ。

「何を聞かされ、何を考え、この数年に何の感情を持ったかなんて知らんけど、君達は事実確認もせずにオレに疑問を抱いてオレを切り捨てた。行方不明後の死亡がいい例だろ。九代目が諦めるように言った言葉に誰一人反論しなかったって聞いたけど?」

もちろん聞いたのはザンザスやスクアーロから。ボンゴレの行動はヴァリアーが知る情報は全て知ってるし、後々内部の人間から聞いたことやオレの調べたことも含めたら大半は知ってるよ。
誰一人ぐうの音も出ないということは事実じゃんね。同級生の二人には恋は盲目って昔の人が言ったことは正しかったよほんと。

「爆音が減ってきてる。そろそろ終わるぞ」
「そうだね。んじゃあ最後の一暴れしようか」
「待ちやがれ!」

扉に向かって歩きだせば制止がかかる。わかってるけど欝陶しいな。

「俺達をどうするつもりだ」
「どうする、ねえ。獄寺君はどうしたい?リボーンはさっき言った通りだから」
「てんめ…!」

やだなあもう。願望を聞いてあげようとしてるのに言葉だけは。ま、ぶっちゃけ聞きませんけど。

「そもそも一般人の君達を巻き込んじゃったのは不可抗力とはいえ他でもないオレだしね。ランボと獄寺君を除いて。だから日本に戻るなり好きにすれば。裏社会からの完全除名はしたあげるから。獄寺君はおまけとしてね。ランボはボンゴレじゃないでしょ。ボヴィーノだからそっから何かしら通知がくるようにしたげる」

オレ優しさライセンスなんてもんがあれば一級取れんじゃねこれ。色々と今は暴言なりなんなり言われたけども、昔は何もされてないし。されるどころか見てただけだったしね。それは今もか。扱いは変わったけどさ。
完全除名なんて言ったけどそれをやるのはオレじゃなくて、そこら辺はよくわかってるザンザスか他の誰かであり、てっとり早く言えばマフィア界にいられないってこと。当然ながらザンザスの作る新ボンゴレなんて入れさせないよ。ボンゴレリングはそのうち誰かに取りに行かすし。いらんけど。

「ツナ!それは」
「反論は聞かない」
「貴様…」
「貴方は、どうして…」
「こんなことができるかって?それはねランボ、人間変われば変わるからだよ。やらなきゃいけない時はしなきゃ」

しなければ単なるヘタレじゃん。オレヘタレにはなりたくないし。出来る子でいたいし。

「綱吉、もう行くぞ」
「うん。あ、言い忘れてた。南の方にはいちゃだめだよ。オレがいるから。もう顔も見たくないんだ」

出来るなら金輪際関わりなんて持ちたくない。誰が見たいよ、自分を好き勝手親友だなんだと言ってたくせに自分を切り捨てるような奴ら。期待せずとも呆れて物も言えないだろ。
何か言いたいけど言えない、そんな言い足りない顔をしてる彼らに背を向けてザンザスに続いてまた歩き出した。そうして部屋を出る直前にくるりと振り向いて、彼らを見据えてにっこり笑って。

「じゃあね。もう会うことはないと思うから」









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クーデター終わった!
後少しです。


 

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