「いいのか」
「お前が睨んだんだろーが」

お前が睨まなきゃオレまた撃ってるっての。こうやって話してる間にも出血止まらねぇからあいつ、若干血の気が引いてきてるみたいだし。

「弾残ってんよ。使う?」
「いらん」

立ち尽くす守護者の間を抜けてオレに近づいてくるから、どうだと持ってた銃を差し出せば一蹴されてしまった。まあザンザスも持ってるからそりゃそうか。

「待て!」
「待たなくていいっすー」
「お前は黙ってろ!ザンザス!」

うるせえ奴らだな。何も出来ないくせに。引き延ばす方が可哀相じゃないの。まだ彼女はうめき声上げてんのに。

「貴様はこれがどういうことかわかっておるのか!」
「カスが。わからずやる程馬鹿じゃねぇ」

その通りだ。どういうことか、なんてさ。皆の不満を形にしてあげただけだよ。中には過労死した人もいたらしいじゃん。そんなことしてちゃいけないよね。
うめきながらうずくまる彼女を、さっきのオレと同じように見下して懐から銃を出して銃口を向ける。後ろから見てればまるで映画のワンシーンみたい。

「十代目!」
「華乃に打たせんぞ」

さすがに慌てたらしいこの連中。各々武器を持って構えた。させるかばかやろう。

「止めれるわけないじゃん」

だからオレもザンザスを背にして構えた。ザンザスの邪魔なんかさせるか。銃だと少し無理があるから、グローブを付けて頭に炎を灯す。これだけは真剣に感謝するね。

「退きやがれ!」
「いい加減にしろよダメツナが」
「どっちがだよ」
「死にたいのか!」

死にたい?お馬鹿が進化したの山本は。オレがここで死ぬわけないだろ。仮に女に何か出来る余力があったとして、女の正面はオレよりデカいザンザスがいるんだよ。オレに届きはしない。もっともザンザスが攻撃されるヘマをするとは思わねぇけど。
それに、だ。

「君達にオレが殺せるとでも思ってんの?」

甚だおかしいねまったく。更に炎を大きくすれば一目瞭然じゃん。大きくオレンジ色した澄んだ炎と、大きさそれなりでも濁った炎。ぶつければどちらに勝敗があがるかなんて、これを纏う奴ならわかるでしょうに。

「昔より大きくなってる…」
「小さかったのに記憶あるんだ。ま、当たり前じゃん。生きていくには強くならなくちゃね」

まだまだこんなもんじゃないけど。それでも炎の純度を目の当たりにした連中は自分達との力の差に気付いたみたい。相手との差がわからない程弱くはないんだね。悔しそうに武器を持つ手に力が入ってるようだ。

「あ、あんた達…」

おやまあうめき声以外にまだ声を上げることが出来たのか。驚いたのは皆同じのようで、ザンザスも喋れるのかと小さく呟いていた。びっくりするよね。

「私、の守護者、なら、私を、護りなさい、よ…!」

ぜえぜえと守護者を睨み、出血多量の自分を護れと言う彼女はなんと哀れで滑稽なんだろう。出血多量にしたのはオレ達じゃない、突っ掛かってくるお喋り好きな君の部下だもん。きっかけはオレでも。

「ハッ!傑作だな。今更無理だろ」

無理ですね。放置していてもさようならですね。どうも太い血管ぶち抜いたみたいだから輸血しない限りは。

「十代目………」
「早くっ!隼人は、右腕でしょっ!」

必死に彼女は叫ぼうとも目の前に二枚の頑丈な壁が立ってんだもんね。無理だよね。それになんだかここまでくると醜いし、耳障りだよなあ。
どうやらザンザスも同じことを思ったようで、驚いた時に解いた構えを構えなおした。

「あっ…!ザンザス、あんたもよ…何が、何が欲しいの…!」
「お前なんかから欲しいもんなんざ一つたりともねぇよ」
「じゃあどうしてっ!」

聞いてたの。さっき気に入らないって言ったじゃん。短気な男がキレるにはこれほど簡単な理由はないよ。

「さっきも言っただろうが。気に入らねぇ。やり方、発言、駆け引き全てがな。貴様のせいで伝統あるボンゴレが堕ちた。内部は不穏な空気しか流れてねぇし、貴様はそれに気付きもせん。それで最強であるボンゴレは作れるはずがない」

不穏な空気は言っちゃだめだろ。こっちはお前の恐怖政治で統一とれてるようなもんなんだからさ。

「だからこそ俺はそれを終わりにする。伝統あるボンゴレは消えた。このカスが継いでりゃ変わってただろうがな。旧ボンゴレは今日が命日だ」

変わってたよ。継いだのならオレはこんなことさせない。昔行った未来では随分と慕われていたようだしね。
さあ、引き金を弾いてしまえ。弾いて、そして終わらせてしまえ。













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人間何分ぐらい太い血管切れて
出血してても喋って
生きていられるんでしょうか。

 

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