目を細めたまま服の内側から俺が取り出したのは銃で。構えて照準はもちろん赤崎華乃。

「テロリストのクーデターはこうだろ?」

先程とは比べ物にならない恐怖の色を浮かべる彼女は立つことも、もうままならないらしい。テロリストじゃあないけどね。

「っ!お前まさか!」
「ああそうそう。リボーンは評判下げてあげるね。元はといえばお前が来たからこんなことになったんだから」

お前が来なかったらこんなことにはなっていなかったかもしれない。否、なっていただろうけど一般人である彼らを巻き込むことはなかったかもしれないんだ。
視線はそのままに言ってやればすぐさま反論してくる。食い下がるのはいいけど後ろから痛い程睨みつけるのは勘弁して欲しいもんだ。手を出したらザンザスが手を出すことがわかっているから出さないのかな。

「お前に何が出来る!」
「出来ないなんてないの。今のオレ情報屋なんだから。簡単だよ。ドンナの側にいたくせにドンナを護れなかった自称最強のアルコバレーノ、なんて言えば評判ガタ落ちじゃん」

頭だけだがちらりと見ればまだなにか言いたそうな、それでいて悔しそうな顔をリボーンはしてる。今更嘘をつかないとはわかってるんだろ。その通りだけどね。
もうオレは沢田綱吉と君達にバレてるんだ。なら情報屋としてもバレたところで問題ない。それどころかボンゴレに見切りをつけて早々に逃亡した元候補として言ってもいいかもしれん。けど恥な気がする。言わんとこう。

「……お前に引き金を引けんのか」
「そうだよ、ツナにそれが引けんのかよ」
「ははっ、引いて欲しくないだけだろ」

引くだとか愚問すぎるよ。

「いくら危険に身を晒したことがあると言えど、貴方がそれを引けるとは思いませんがね」
「それは願望だよ、ランボ」
「じゃっ、じゃあ引いてみなさいよっ!」

素敵な強がりだ。引けないと思っているから、お前に向ける銃口はハッタリだと核心してるからだろ。馬鹿ぬかせ。

「口の聞き方には気をつけた方がいい」

まだまだ生かしておくけどね。引けないわけがないことの立証も兼ねた引き金を足に向けて引く。

「ああああああああ!!」

叫び声を上げ足を抱えてうずくまろうと血は流れる。止血なんてさせません。
引けないと思っていた引き金は引かれた。ハッタリではないと感じた周りは言葉も出ないらしいよ。開いた口がだらしないなあ。

「はっは、あ、あぅ…!」
「痛い?喋れない?ざまあないね」

高見の見物は楽しかったろう?自分は手を汚さずに痛めつけられるオレを見て楽しかっただろう?旦那にならないと蹴ったオレをほくそ笑んで見てたんだ。オレがそれを舞台上に引きずり落としたって文句は言えないよな。

「嘘では、ないのか…」
「もちろん。ハッタリじゃないんですよ。殺る気になれば殺れないわけない」

先程赤崎が後ろに少し下がった分をつめて見下ろした。ああ、無様。血はまだまだ流れ続けている。
次の照準は肩にしようか、ね。カチャリとまたオレは構えた。

「やめろっ!」

やめろと言われて止める程大人しい人間じゃないんだけど。だけどザンザスにも睨まれてっから止めてやるよ。やり過ぎるなってか。睨むなよ。

「はいはい。止めてやるよ」
「テメェ何のつもりだ…」
「そんな、獄寺君聞いてた?これはクーデターで、オレは昔に売られた喧嘩を買っただけ」

くるりと振り向いてやれやれとした顔をしてやった。人の話はちゃんと聞こうね、大人なんだから。

「さって、と!」

ぽんと一つ手を叩き、にっこり笑ってぐるりと見回す。なんだと不安な顔でオレを見るらは面白いね。

「終わらせようか、クーデター」

その言葉でザンザスが壁から離れた。



 

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