「はいはい起きようねー」
笑顔で倒れている彼女の守護者を引っ張り退けて横にしゃがみ、胸倉掴んで軽く往復ビンタ。ザンザスは呆れてやがるし。連中にはがたがたと言われたものの、うっせぇ黙れと睨めば少し離れてオレ取り囲むようにして彼らは黙った。ダメツナとのギャップかな。
「う、あが…」
「あ、起きたかな?」
起きたから胸倉を離す。軽くといえども三往復もすれば頬は赤くなってきた。これこそオレが赤崎華乃を殴ったと言われればイエスとしか答えられないよね。
「ひっ!あ、あっ、さわ、だくん…」
「そうだよ沢田君だよ。ご機嫌いかが、なんて言うつもりはないんだ。先程の映像についてまだ言いたいことはあるかい?」
一瞬また顔色は青ざめたけど、それはやっぱり嘘つきでマフィアのドンナかな。虚勢を張るくらいはできるようだ。
「お、多ありよ!あんな嘘!貴方は私に何度も暴言吐いたり暴行したじゃない!」
まだ言うか。暴行したのは今が始めてだ。暴言なんかお前には吐いてねぇよ。聞こえないところで馬鹿にしただけだよ。
「映像は詐欺じゃないですか!」
「あんなもん、俺は認めねー!」
「……うるせぇカス。テメェらに発言権は今あると思ってんのか」
そうですね。彼らにはないですね。今の空気はオレ握っているようなもんだもん。
「ザンザスありがと。うん、だからね。雲雀さんが面倒なことわざわざしないし、君がオレに殴られたと言ったり暴言吐かれたと言った時、オレは応接室にいたりしてできないわけ。休みの日を考えなよ、特にリボーン。彼女がオレに何かされた時は家でゲームしてたり寝てたのはお前が知ってんじゃないの。発言権をあげるから言ってみな」
リボーンを見てどうぞと手を出せば、眉間の皺がいっそう濃くなる。甘いマスク台なしだよ。
「……調子乗ってんなよ。休みの日に俺を巻いて出かけたりもしていたじゃねーか」
「雲雀さんと約束してたから。バトってたんだもん。草壁さんに聞いてみな。あの人二回目以降は見てたから。それに一回、わざわざ雲雀さんがうちに来たこともあったじゃん」
「そんなこと…」
頑固だなあもう。よっこいしょと立ち上がって一通り目を合わせる。
「信じられないって?本当に言えるのかよ。あれだけ馬鹿騒ぎしてたくせにオレが彼女を殴ったり暴言吐いたりしてたの見た?誰が見た。ほら言ってみろ」
「十代目が言って…」
「口先じゃねぇか」
「デケェ騒ぎだったんだろうが。それを誰一人として見てねぇのはおかしな話だな、オイ」
ザンザスの口添えもあってか、黙り込んじゃった。まずそんなことも考えないなんて甚だおかしいだろテメェらの頭。
「…だがお前がいなくなってから赤崎は怪我することもなくなったのだぞ!」
「そ、それが何よりの証拠じゃない!」
「あれから俺達には至極平和な日々だったのな!」
今山本なんつった。平和だと?
「………綱吉」
「…黙ってろ。平和はオレが一番望んでたんだよ」
なぁなんて壁に寄り掛かるザンザスを見ると悟ったように目を伏せられた。そりゃそうだよ。オレがどれだけ平和、平凡、普通を望み、手にできなかったか。並盛を出たあの日、捨てたくないものを捨ててまで異国の地で今までよりは普通を手に入れようとしたか。結局望みは叶わなかったけど、前より平和ではいれている。
昔のオレの平凡を潰したのはお前らなのに。平和なんていくらオレが望んでもくれなかったのに。それが平和を手に入れただと。
「ふざけた事抜かしてんなよ」
何言ってくれてんの。
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あんまり状況描写がない。
何故か描写入れられない。
完全綱吉視点を今になって
しくじったと思いました←
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