「ちゃお!」

にっこりとオレ先頭で中に入ればそこは大きな机と椅子、中央には見た感じ高級だとわかるソファーとテーブル。豪華な部屋だったね。そのソファーにドンナと、周りに守護者。しかしそんな部屋に似つかわない、あんぐりと口をあけて幽霊でも見るかのようなドンナと守護者。皆が皆、昔行った十年後の世界の彼らに近かったけどランボはまだ幼いようだ。そりゃそうか。

「沢田綱吉…?」

開口一番はリボーンだった。さすがはアルコバレーノといったところかな。誰よりも持ち直しが早かった。
それに続くように意識を取り戻したかのような守護者連中がオレを睨む。憎いのか悲しいのか、そんなことわかりゃしないけどわかることは、マイナスの感情でオレに目線をくれていることだけだ。

「だとしたらどうする?」
「極限に嘘だ!死んだはずだ!」
「沢田綱吉は行方不明で死んだはずですよ!」
「やっかましい。オレは生きてらあ」

行方不明の否定はしないけど、勝手に殺すなオレは生きてる。都合は良かったけど。まあオレを沢田綱吉だとわかっただけ良しとしようか。

「そんなことより、こいつは何故ここにいる!ザンザス、今起きているのはなんだ!」
「雲雀もなのな!お前はそっち側じゃないだろ!」

きゃんきゃんとうるさいねぇ。犬と呼ばれるだけあるよ獄寺君。山本もだけど。

「綱吉は俺達ヴァリアーが日本から逃亡させた。今起きてることだと?見ればわかんだろ」
「僕は我慢の限界なんだよ。除籍しろと何度も言ってるのにしてくれないし。それに僕は元々君達と群れるつもりは毛頭ない」
「見切りとクーデターだね」

さらっと言えばさらにオレは睨まれた。事実だもん。雲雀さんはボンゴレに属したくもなく無理矢理なんだから、裏切り者じゃあないんだよ。

「どうしてクーデターなんか!」

ようやく意識を取り戻したらしい女がだんっとテーブルを叩き立ち上がる。女の叫び声って頭に響くよね痛い。

「テメェのやり方が気にくわねぇ。嘘ばっか吐きやがって。元々テメェは好かんかったがな」
「そんな…どうして…」

馬鹿やってっからだよ。一般人みてぇに騙せると思ったら大間違い。だから同盟解消なんてのが起きたんだろうが。やり方下手くそじゃなけりゃこんな早くに解消なんて起きないっての。

「……お前は本当にあのダメツナなのか?」
「ダメツナではないね。それでもオレは沢田綱吉だよ」
「……あれは演技だったと、そう言うことか」
「な、俺達を騙していたのか!」

騙していたとは心外だな。あれは沢田綱吉でもあり、ダメツナなのに。オレじゃないけど、オレなのに。

「演技ねぇ。ま、君らと仲良くなる前からああだったから演技とは一概にはいえないよ。騙したんじゃない。仕方ないことだ」

昔からだもん。隠したいことだってあるだろ。それがオレには少しばかり人と違ったから、あんな方法だっただけだし。
だからって納得しないよね。裏切ったもクソももうないのに、騙してやがったって睨まれてもそれもまた仕方ないことなんだろうさ。

「で、ダメツナがこのクーデターに一枚かんでやがるというわけか」
「クーデターにのせたオレの喧嘩買い取りもあるからね」
「買い取り?」
「この女はオレに喧嘩売ったんだもん。高額買い取りしなきゃ失礼でしょ?」
「私がいつ沢田君に喧嘩なんか売ったのよ!」

記憶にないってか。呆れた。あんなけ派手に喧嘩売りやがったのに。きぃっと彼らと共にオレを睨むけど、一番怖くないよね。

「中学生のあの時、君はオレを盛大にはめたじゃないか。オレは平凡な日常を望む中学生だったのに」
「あれは沢田君が悪いのよ!」
「あんなボロボロだった十代目を殴ったりしたのは沢田だろうが!」

おやまぁ沢田扱いかい。構わないけど、いったい何をこいつに吹き込まれたのやら。見てみたいけど爆笑ちゃうよね多分。

「してねぇって言ってんじゃん前から」
「そんな証拠ないだろう!」
「華乃に証拠がないっていうなら華乃がボロボロの理由はなんでなのな!」
「おお怖。そんな睨むなよ」
「思ってないでしょ、君」
「ばらさないでくださいよ。証拠くらいありますよってね」

雲雀さん、と後ろを見れば用意はばっちりできてあるようだ。ノーパソにオレと赤崎華乃の会話が写し出される。これが君達の見たかった証拠だよ。



 

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