守護者の中では一番聞きたいことがある奴がいんだ。忘れてた。一番厄介な奴。

「骸どうなったんすか」
「……誰それ」

ちょおい。記憶から消しちゃ駄目でしょ。あんたと犬猿の仲の奴なんだから。

「…そんな目で見ないでよ。嫌いなんだよあいつ」
「知ってますよ。でも聞ける人いないし」

雲雀さんはわかってんのかね。嫌いってのはそれは対象物に感情を持ち、ある種の執着心があるんだよ。本当に嫌いなら相手に対して無関心になるのが良いんだ。人間はそんなの出来る奴のが希少性が高いけどね。

「僕が知っているのは殆ど僕と変わらないようなことしかしてないことだよ。ムカつくけど」
「けどクローム達がいるじゃないですか」
「あの子達はわりと聞いてるらしいけど、クロームはあの女に好かれてないみたいだ」
「ほほう!と言うと?」

なにそれ気になる。優秀な道具にならないのか。

「クローム髑髏自身があまり好いていないようでね、反発まではいかないけど軽い否定的なことを言ってあの女に怒鳴られてるのを聞いたことがあるよ。人払いをしていたらしくて僕しか聞いた人間はいないみたいだけど」
「……優秀な道具はなんでも言うことを聞く道具ってやつか」
「みたい。だったら僕を切り捨てれば清々するのに」
「ですねぇ」

しないのはきっと雲雀さんは戦力的にデカイから。クローム達は後ろに骸がいるし、クロームがいないとまだ牢獄に繋がれた骸が出てこれないからだろ。
使える物は嫌でも離さないってか。

「とりあえず六道骸が君からすれば一番わからない立ち位置にいることは間違いないよ」
「うっは!やっぱめんどっちぃ」

前にメールで聞いた内容と照らし合わせても雲雀さんの言う通りなんだよね。でも蓋開けてみれば多分なんてことないんだぜ。

「他に聞きたいことは?」
「うーん特にないです。興味ないのもあるけど、他はなんとなく予想が付きますよ」

だって最後に獄寺君と山本はオレを切り捨てた。了平さんも似たようなものだろうし。
嘘が見抜けないのなら、彼女に簡単に取り入れられるだろうから。取り入れられた彼らは予想が付く。まだ幼かったランボには刷り込むことは容易いだろ。

「そう。じゃあ僕はそろそろ行くよ」
「おやまぁ早いっすね」
「僕だって暇なわけじゃないんだよ」
「あはは、そうですよね」

クッキーご馳走様と雲雀さんは立ち上がり、オレも一緒に立ち上がる。
ドアに手をかけた時、ふと思い出したようにオレに目をやった。

「言い忘れてたけど、どんなに向こうが僕にとって楽しそうなことしようが僕が向こう側にはつかないから」
「わかってますよ、オレは中学のあの頃から貴方の性格くらいわかってるつもりです」
「ならいいよ。それじゃあね」
「ではまた」

雲雀さんは基本自分の信念に反することはしないし、自分の眼や感覚、感性を一番に優先させ信じてるから。向こう側につくのは自分の信念を裏切ることになるんだから。
見送った後、またオレは日本茶を楽しんでいた。



 

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