あっという間に一年が経ち、二年が経ち、六年が経過してオレは二十歳になった。オレはその間にべらっべらのナチュラルイタリア人を装った隠れ日本人となった。ボンゴレにはもちろん見つかっちゃいない。
あれから一ヶ月経った頃にオレの捜索が始まったらしいが、半年が経った頃にオレの捜索が打ち切られ死亡と言うことになったそうだ。思惑通りだね。
それくらいに雲雀さんには生きてっからねと手紙と、お世話をかけたことのお詫びの品を送っておいた。だからってお世話をかけるのは終わらないんだよ。リボーン達の動向も知りたいからオレの携帯のアドレスを添えてたんだから。危険な橋だったけど渡り切った先は安全だったみたい。ラッキー。それから今でも三ヶ月に一回程度で連絡は取り合ってる。今は携帯じゃなくてパソコンだけどね。お詫びの品はこれからもお願いしますの品でもあったわけ。

「ツナヨシどしたの」

パソコン画面と睨めっこしていたら後ろから声がした。

「んー?雲雀さんからメール来た」
「お前やっぱヒバリにも気に入られてんな」

かもしれない。オレを気に入る奴はまとも、いや癖のある奴ばっかりらしいね。

「で?」
「うん、どうやらあの子が十代目決定らしいわ」
「マジで?」
「マジっすね」

オレが消えてからザンザスにドンの話がきたらしいが、ザンザスは「俺は認めねぇと指輪が言ってる。だったら俺もそんな指輪認めねぇ」と言って断ったらしい。
だからオレにリングを渡され、沢田綱吉が認めたという形になったあの女が次期ボンゴレということになったそうだ。

「どうせザンザスにもこんなのすぐ伝わんだろ」
「そりゃヴァリアーのボスだしな。伝わってんじゃないの」
「だよねぇ」

二、三日したら話持ちかけてみっか。これからのことの話。

「それよかほれ。仕事だ」

未だ声の主の方ではなくパソコンに文字を打ち続けていれば、目の前に現れた一枚の紙がそれを塞いだ。

「なんこれ」
「次のお仕事。今回はオレとマーモンとレヴィ」
「珍しい組み合わせだね」
「力技もいるんだと」
「ふぅん」

渡された紙を斜め読みしていれば、力技が必要だろうことが書いてあった。いいんじゃないのそれはそれで。

「三日後だから」
「わりと急ぎじゃん」
「らしいな。ガンバレ」
「任せろし」

ここ数年、頭を貸せと言われた通りヴァリアーの作戦を練るようになった。最近じゃ作戦の鍵はオレが握ることまでに。実戦には出ないけど退屈だから幹部の誰かに月に数回実戦の相手はしてもらってるけど。
今では幹部への作戦変更、伝達は全てオレが任されてる。マフィアじゃんとか最初思ったけど協力をしてもらった恩返しも兼ねてるから仕方がない。
当時殺風景だったオレに与えられた部屋は現在仕事場と化してる。現在のオレの住居はなんてことない街中のアパートみたいなとこ。この部屋じゃないんだな。ちなみに近所付き合いはいいんだよ。ヴァリアー本拠地に出入りする時は、必ずマーモンを呼んでからじゃないといけないくらいで不自由なんてない。最近はここに缶詰だけどね。

「ねぇベル」

くるりと椅子ごと振り向いて前髪に隠れた目があるだろうところに視線を向ける。ようやく見たといった雰囲気をベルはかもしだす。

「ドン・ボンゴレがあの子になったらどうする?」
「…どう、なぁ……」

たわいない単なる疑問だけどね。なんの下心もないことだけど少し興味があったから聞いてみただけなんだけど。
考えるフリをしてるけど心ん中はベルは決まってんだろ。

「ししっ、オレはのボスはボスだからな。ボンゴレがどうなろーがオレは知らねぇ」
「皆同じこと言うなぁ」
「お前、他の奴らにもしたんか」
「した」

皆同じ解答だったよ。レヴィはわかりきってるからしてないけども。自分がついて行くのはザンザスだという意味の解答しか皆しなかった。

「ま、そうだろうよ。オレらはボスだからという理由じゃねぇとあんな暴君について行きゃしない」
「ははっ!確かにな!」

好き勝手なくせに慕われてんな。オレとは大違いだまったく。羨ましいとは思わないけど凄いとは純粋に思うよ。

「ああそうだ。だからってお前をいきなり切り離すならオレらの大半は猛抗議するぜ。さすがにお前側にゃ付けねぇけど隠れて支援や保護くらいしてやんよ」

ししっと変わらない笑みでベルは言う。ちょっときょとんとしたじゃんか。これはオレも慕われてるってか、信頼されてるってことなのか。

「………うっそー」
「するしー。ツナヨシはもうヴァリアーに必要なんだぜ?頭もそうだけどオレは一緒にいて面白いかんな」

なんだこれ。他人に期待することを止めたオレに期待を抱かせたいのか。まるでそんな言葉じゃん。
オレの素とか過去とか丸ごと話しても、変わることなく接してくれてるからか。だからオレはそう思ってしまうのか。

「………さんきゅ」
「いーえ。じゃ、それよろしくー」

んじゃな、とベルは出て行った。出て行った後もしばらくオレはその扉を見つめていた。








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含みもたせて何もない
ってのは避けたい。


 

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