「お邪魔します」

思い立ったから行動してみた。応接室に乗り込むとか普通馬鹿。今日は雲雀さん草壁さん以外にも風紀委員がいるし。やだねぇ睨むなよばか。

「ワォ。まさかこんな早く来るとはね」

校長の机と椅子みたいなのだよな雲雀さんのデスク。その椅子に座って雲雀さんはなにやら書類を受け取っていたらしい。なんの仕事してるんだ風紀委員。

「ひっ!ちょ、ちょっと気になることが……」

まじであるんだよ。なんで知ってんの。そりゃ知ってるだろうけども。

「なに?とりあえず座りなよ。あと君達はもういいよ」
「はい」

模範のような返事だね。風紀委員は教育されてんな。
とりあえずオレは言われた通り柔らかいソファに座ってみる。座りごこちが良すぎて悪い。軽く沈むんだよね。
まじまじとオレを見ながら風紀委員は出て行った。物珍しいか、うん。

「さてと、沢田綱吉。この前の君で喋りなよ。でないと僕、答えない」

理不尽だなおい。知ってるけど!歩く理不尽だけど!まあリボーンもいないようだからいいか。

「はいはいわかりました。いいですよ。だから答えてくださいねー」
「いいよ。何が聞きたいの?」
「あ、その前に。草壁さん、これ言っちゃ駄目ですからね。オレがこんなのとか他言無用でお願いしますよ。雲雀さんもあんま草壁さんとこの話しないでくださいね。どっから綻びができるかわかったもんじゃないんで」

抜かりはないように。草壁さんは多分大丈夫な気がするけど。それでも言っておいて損はない。

「わかりました」
「わかったよ。で?」
「急かすなぁもう。なんではめられたの知ってんですか」
「あぁ、それ」

なんでもないみたいに言うなし。オレめっちゃ気になるんだけど。だからこうして来てるんだし。

「だってあの君はそんなことしないでしょ。今の君なら多分口で負かせるだろうし。殴るなんて面倒とか思ってそうだしね。彼女は女だし、後々考えたら」
「……すっげー」

ビンゴだよビンゴ。当たってる。女殴るとか相当ないし、あるなら本気でキレた時くらいだよオレ。

「それに僕見たんだよね。彼女ハイエナみたいな眼をしてた」
「ハイエナですから。欲にまみれた眼してるじゃないですか。あーやだやだ」

手を頭に回してぼふんと背もたれにもたれた。このソファまじふかふかだわ。

「沢田綱吉、まだ僕に言いたいことあるんじゃない?」

おやまぁこの人は話がわかるね。さっすが雲雀さん。見てないようでオレを見てなさるよ。

「獄寺君と山本がどうなるかわからない。手は…そうですね。出されるかもしれません」
「だったら咬み殺せばいいじゃない」
「それは無理。言ったじゃないですか。ダメツナじゃないと駄目なんだって。今ここで先読みもある程度出来きて、それに対する対策まで出来るような頭切れるとこ見せちゃ駄目なんですよ。反対勢力を潰すなんてそれこそしちゃいけない。そんな力があったのか、なんて勘弁なんで」

自分で言うがオレは腕は立つ方だ。素でもザンザスや雲雀さんに勝てるくらいに。
そんなの見せたら、マフィアにならないと決めたことがおじゃんだ。

「ふぅん」
「そこで、ですよ。やられるのもオレは好きではありません」
「知ってるよ」
「なので嫌気が差したらここに来ます。空き教室提供してくれてもかまいませんけど、オレ多分寝るんで」
「ここでかまわないよ。君が戦ってくれるなら」
「…交渉成立ですね」

どんなけ戦闘狂なんだ。そんな戦いたいのかよ。いいけど。合意の上の喧嘩は実際嫌いじゃない。オレがオレである感じがするから。命のやりとりじゃないやつに限るけど。

「いつなら良い?」
「明日休みじゃないですか。なんで明日は?昼以降なら大丈夫です」
「いいよわかった。明日だね。夕方に屋上来て」
「りょーかいです。決まったことですし、オレは昼飯いただきます」

約束は守る人だろうし、いいだろう。やり合う日程も決まったし。
よいしょと鞄から弁当を取り出し、応接室には不釣り合いなそれを食べた。その間に昼休みが終わるチャイムが鳴ったけど、オレは聞こえないフリをして。



 

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