「あいっててて…」

辺りは暗い。7時過ぎくらいだった。
起きたらやっぱり誰もいなくて軽く体が痛む。軽い筋肉質みたいな痛さ。まあ平気。

「ったくよ。そんなダメツナに拍車かけることするかよ。するなら自分一人のドジだけで他人巻き込むか!面倒臭い」

ぽんぽんと汚れを払って鞄を持って教室を出た。夜の教室って無駄にテンション上がるんだ。廊下に出たら上がった。辛いよ悲しいよ、なんて精神構造オレはしちゃいない。
てぽてぽと廊下を歩くけど昼間が嘘みたい。そんな静かな状況だとなぜだか悪態はすらすら出てくる。

「だいったいな、手に入れたけりゃオレに言うなよ。9代目に言えばいいじゃん。ボンゴレリングあげたんだからさぁ!沢田君に認められましたきゅるん的な感じで。クラスもクラスだしな。飛び火回避組はいいとして、他まじなんだあれ。警察行ってやろうか今すぐに。いじめられたんですぅって泣いて。面白いけど面倒だからしないけど。オレがどんな人間かわかんだろ」
「草食動物?」
「そうそうそれ。事実争いことは好まないけど、ひっそり地味に生き……は?」今声しなかったか。オレ答えなかったか。
ぐりんと振り向いて見ればまさかまさかのあの委員長閣下がいる。待って。

「うっそだあ」
「何が嘘なの」
「え、や、その…あはは、は。オレ帰りますんで!」
「帰すとでも?」

でっすよね。草食動物は実は超保身的な自己中心雑食動物ですからね。
そういや最後見回りしてるとか言ってたわ。目ェ笑ってる怖い怖い!

「…えー……聞いてました?」
「声がしたから来てみれば君とはね。あんな独り言言うんだ」

これはバレてるよ。明らか含みがあるもの。バレてる最悪オレの間抜け。

「…お願いがあります」
「いいよ。聞いてあげる」
「黙っててください」
「どうして?」

どうしてって聞くのか!普通そこ突っ込んじゃ駄目なとこでしょ!

「…身の上話は省きます。ダメツナじゃないと、頭の悪い奴じゃないと困るんです」
「それと君がはめられたことに関係があるの?」
「イエス!彼女がボンゴレ欲しいって言ったからリングあげたんです。かわりになってもらおうと。それがパァになる。マフィアなんてなりたくない。リボーンにも母さんにもバレてないのに」
「ふぅん。まぁいいけど。そのかわり」
「喧嘩ぐらいしますから。それくらいしますよ」
「ならいいよ。早く帰んな」

帰りますよ。言われずとも。
喧嘩の一つや二つで黙っててくれるのなら、いくらでもやりましょうや。オレの見せてはいけない失態を黙っててもらうんだから。
それじゃと言って雲雀さんと別れて、ただ帰り道を歩く。見せたものは仕方ない。諦めだけはピカイチのオレだもん。諦める。
でもどうしてはめられたの知ってんだろ。雲雀さんは自身の目と感性しか信じないだろうから、オレはしないと思うのかな。でもはめられたって言い切るのはなんでだ。
教室にいるのが嫌になったら応接室を訪ねようと決めた。



 

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -