スレツナと雲雀
世界征服できそうじゃね?
ぽややんとした顔で言われた言葉は、物騒極まりない言葉でした。
「…もう一回言って」
「だからぁ、世界征服できそうじゃね?って」
空耳じゃなかったの。
「はぁ?」
すずって。目の前に出した紅茶をみそ汁みたいに飲まないでよ。紅茶じゃないみたいだよそれ。僕はあんな砂糖入れたやつ飲めないけどそれ紅茶だよね?
「世界征服ですよ、世界征服。聞こえてました?鼓膜破れてます?」
「聞こえてるし破れてもない。世界征服とか中二病でもあんまり口にしないよ」
「わぁひどい!中二病なめちゃだめですよ!てゆかオレ中二ですから。真っ盛りです」
「知ってるよ。並中生はたいがい知ってるつもりだけど、君がそんなこと言うとは思ってもなかったよ」
ダメツナとか言われるよう仕向けてることも、突拍子ないこと言うのも知ってるけどね。
「え?だってボンゴレですよ、ボンゴレ。なんかめちゃんこ同盟してるファミリーたぁっくさんなんですよ?」
「……ボスにならないんじゃなかったの」
「なりたくはないですよめんどくさい。人を顎でコキ使えるのはいいけど、考えて使わなきゃオレが痛い思いするし」
ね。じゃないよ。雲雀さんならわかるでしょー、ってわかんないよ。君の考えることなんて。
「で、なんで世界征服と繋がるの」
「頭使ってくださいよ雲雀さん。仕方なしにボンゴレのボスになったるとします。なら、それこそたぁっくさんの裏社会の人間のトップなわけですよ。めちゃくちゃでかい勢力なわけです。おっけー?」
「馬鹿にしてるでしょ君」
「いやだなぁ、してませんって。恐いなぁ」
「…まぁいいや。それから?」
「それからってか、それで裏社会をがっつり牛耳ったらほら!世界征服!政府もなにもうかつに手は出せない!」
「馬鹿でしょ」
「雲雀さんには負けますって。けど問題もあるんですよ」
「………」
やっぱり馬鹿にしてたじゃない。
口には出さないけど。面倒だから。
「問題って言うのはですね、やっぱりボンゴレ並にでけぇのもあると思うんです。ほら、白蘭とこみたいなの。いやそれ以上かな?それが邪魔ですよねやっぱり」
どうしたらいいですかね、なんて僕に聞かないでよ。僕はそんなの知らない。
「知らないとかじゃなくてですよ。う〜ん、やっぱ潰すしかないですよね。うん」
「勝手に心読まないでよ。てか、僕の意見とかいらないじゃない」
「いやいりますって!オレに浮かばないこととか浮かぶじゃないですか!人間の思考なんて十人十色なんですよ?」
「…あっそ」
「そうです。あ!うちじゃないのが潰し合えばいい!それだ!」
「ねぇ君もう教室帰りな」
もう付き合いきれない。応接室にいるのはいいけど、喋っちゃ、ダメツナ演技やめる事をやめて欲しいよ。
「どちらも嫌でーす。帰りませんやめません。さて、解決したのでオレは今からお昼寝タイムです。ではお休みなさい」
「ちょっと!勝手にクッション使わないでよ」
「オレは寝てます聞こえません」
「…」
意味が違うかもしれないけど、まったくダメツナって言い出した奴は正しいね。
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ダメツナの時が懐かしい雲雀さん
豹変ぶりに驚いたけど
もう諦めた。