リボーンと綱吉
















「去年も色々あったねえ」

手を擦り合わせながら青年は呟いた。しみじみと呟くその姿に彼を知る者に頷かない者はいないだろう。
雪の積もった道を足跡を残しながら、一定のリズムで歩く二つの足音。小さい方の、先程呟いた青年はマフラーから出た頬や鼻を赤くしている。もう片方の少し大きなすらりとした男性もコートのポケットに手を入れながら寒そうに肩を寄せていた。

「こっち来てから何もなかった事がねぇだろ」
「そりゃそうだ。ま、日本にいた時からだけどね」

一歩後ろを歩く彼に青年は振り向き、笑ってそう言った。色々とは言葉に出来ない程のことを体験し、普通は経験できない事を経験した。

「楽しいんだけどさあ」
「賑やかの間違いだ」
「いやいや。楽しいと思わなきゃやってらんない」

ふうと白い息を吐いて、摩り合わせた手を無造作にポケットに突っ込んで遠い目を青年はする。見た目に似合わぬ哀愁漂う姿に、彼もまた頷いて同じような目をした。もっとも、原因の一つに彼も入っているのだが。

「一度全員に今年の抱負でも聞いてみたいもんだな」
「いいね。筆買って、書き初めで抱負」
「日本らしくていいが、筆なんかあったか?」
「ないなら雲雀さんか母さんに送ってもらえばいい。墨汁も」
「インクじゃ駄目か」
「だめだよー。筆には墨汁でしょ」

ふふんと笑いながら後は半紙もいるなあ、なんて呟く青年はどこか楽しそうである。イタリアにそんなもの売っているのかと首を傾げる彼も、そんな風にしている青年に目を細めた。

「もちろんお前も書くんだよ?」
「俺もなのか?ランボにでもさせとけよ」
「ランボもさせる。皆にさせるよ。だからリボーンも、ね」

にっこりとする青年は今見たよりも幼く見える。哀愁を漂わせてみたり、幼くみせたりと青年の表情、雰囲気はころころと変わる。ころころと変わるそれもきっと、幼く見える要因の一つだろう。
心底楽しもうとする青年にリボーンと呼ばれた彼もまた、しょうがねえな、などと口では悪態をつくが、どこか楽しそうであった。

「ツナもやるんだろうな?」
「当たり前じゃん。仕事始めには間に合わないけど、書くよ」
「ならやってやるよ」
「ふふ、なら早速母さんに送って貰おうか」
「善は急げってか」
「そうそう」

ツナと呼ばれた青年は、言うなり歩くスピードが速くなった。少し歩幅も大きくなったようだ。
少し歩いて振り向けば、マイペースに少し後ろを歩いている彼との間が開いていた。

「早く帰るよー。寒いし」
「はいはい」

少々ぶっきらぼうな言い方だが、その言葉に満足したのか青年はまた前を向いて歩き出した。足を早めた彼も先程と同じように一歩後ろに付いて歩く。
雪に残る足跡は規則正しかったり、時折ばらけていたりと青年達を現しているようだった。








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イタリアにはさすがに売っては
いなさそうです。
書き初めセット。

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