獄ツナだけどほぼ獄寺の一人語り。
獄→ツナっぽい。















目を覚ますとそこはなんとなく見慣れた、しかし自宅ではない天井があった。

(どこだ…ここは…)

どことなく身体に重みを感じて、むくりと起き上がる。だんだんはっきりしてくる頭と視界に、そこがよく来る家の一室だとわかる。どうやら自分が主と崇める人物の部屋で、自分はその人のベットに寝かされていたらしい。

(なんで俺寝てんだ…)

状況把握はそこそこにして、くるりと見渡していた視線を下げてみる。そうすれば起きた時に感じた重みの正体があった。

(なっ!)

その瞬間、目を大きく開かせた。何故だか崇め慕う人物がすやすやと、規則正しい寝息をたてて自分の足の横で、ベットを机のようにして眠っているではないか。ちなみに顔は自分に向けられている。

「じゅっ…!」

10代目、と出しそうになった声を慌てて飲み込む。今自分が声を上げてしまえばこの人は起きるのではないかと、まだきちんと回らない頭で考えたのだ。


(10代目が起きてしまったらどうするんだ俺!)

普通に「おはようございます」といった言葉をかけることはどうやら思い付かなかったらしい。寝ているから寝かしてあげる、といった思考が頭を占めてしまったようだ。

(それにしても、)

まじまじと、ここぞとばかりにまだ眠る彼を見つめた。いつも、いつでも第一に考えるは彼のことではあるが、たいがいは元気に子ども達の相手をしていたり、家庭教師にしごかれていたり、何かと忙しい彼である。

(やっぱ色素薄いよなぁ)

日本人にしては色素の薄い彼の髪の色。今は閉じていて見ることはかなわないが、瞳もまた一般的な日本人よりは少々色素が薄かった。

「ん…」
(!!)

もごっと彼が動いた。自分は無意識のうちにその髪に手を伸ばしていたようだった。

(何やってんだ!せっかくゆっくり寝てらっしゃるってのに!!)

髪に触れた方の腕をもう片方の手で握りしめながら、あわあわと自分を咎めた。光景としてはなかなかに笑えるものではあるが、当事者はそんなこと気付きもしない。

(けど、柔らかかった…)

彼は逆立ったくせ毛という見かけによらず、ねこっ毛らしい。ふわふわとした感触が触れた手に伝わった。
一人百面相をしている自分をよそに、どうやら彼は一向に起きる気配はない。
ならば。

(もう少しだけ…)

言い訳はなんとかなる。言えるかは別としても、だ。
そう思って再び彼の髪に手を伸ばす。温かく、意外にもさらさらとした髪に指を通した。やはり起きない。
何度も指を通しているうちに自分の強張った表情は落ち着いていき、しまいには唇は小さな弧を描いていた。


(まだ、起きないで下さいね)


まだ幼さの残る彼の寝顔にそう願わずにはいられなかった。














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獄寺は沢田家に来たとたん
きっとビアンキに出くわしたんです。
ツナがベットに引きずっていって
付き添ってたら寝ちゃった的な←

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