スレツナ嫌われ



















「知ってる?」

横を向いて頬杖をついて足を組む。偉そうに見えるんだろうけどもう知らん。気にしない。

「キミタチがオレにしたこと」

くすりと笑う。目の前の彼らは帰ったはずじゃなかったのかと思ってるだろうね。残念屋上で寝てました。
オレはボンゴレにも見捨てられ、親にも見放され、友達にも赤の他人にも蔑まれた。だったら皮被ってる必要ないでしょ。オレもその方がすっきりする。

「女泣かせた奴が何言ってんだ」
「泣かせてねーよ」
「泣いてらっしゃっただろ!」
「はっ!オレだっていつでも泣けるわ」

女優になりゃいつでも泣けるだろ。その女が女優かと言えばわからんけど。身体張って笑い取りに行くべきだと思うけどオレは。

「まあもうね、そーんなイタチごっこは興味ねーのよ」

そこに座ったままぱんっと手を叩いて終わりだと言ってやった。そんなやりとりの為にがんがん西日の当たる部屋でお前らなんか待ちゃしねーし。

「ね、謝ったら終わんの?」
「それ、は」
「なんで吃るわけ?謝れ謝れってみぃんなオレに言うじゃん。だったら謝ったら終わんじゃねーのかよ」

虐げながら、罵りながら。皆お前に謝れって言うんだ。オレのもん全て奪っていったお前に。オレが謝って欲しいけどさ、そんなもんどうでもいい。

「誠意が篭ってないのな!」
「誠意!ふはっ!」

堪えようと我慢したけど耐え切れなくなって腹抱えて笑ってしまった。何笑ってんだよとか言われたってそんなの、ねぇ。誠意とかあるわけないじゃん。なにも悪いことしてないのに。誠意込めて謝るのはお前らだろ。

「あーあウケる。誠意とか無理だしいらんし。そうそう、オレもねぇ、一人じゃあ情報集めは無理だったんだわ。協力的な人間が必要でさ」
「そんな人間がいるわけねぇだろ!並盛にお前の噂は広がってんだ!」
「そう。だから外部の人。そしたら、いーっぱい調べてくれたんだよね」

ほら、と先程から机の上に置いていた紙の束を掴んで見せてやる。ご覧よと彼女に渡しに行けばみるみる顔が青ざめて、口元が震えだした。
面白いくらいに様子が変わるものだから、金魚のフンのような二人も様子がおかしいと覗き込む。目は文字を追うごとに大きく見開かれていく。

「先に言っとくよ。嘘じゃないからね。そんな手の込んだ嘘つく程暇じゃないからあいつもオレも」
「あいつって、誰よ…」
「君は知らないかな。二人は知ってるけど」
「誰だよ」
「お前に協力するような奴なんざ知らねぇ」
「知ってるよー。白蘭だもん」

知ってるでしょう。と投げかければありえねぇみたいな顔された。いきなり連絡来るんだもん。しかもご丁寧にメール便。なんで知ってんだよって話だよまじで。

「どうして白蘭が…!」
「知らね。けど白蘭はそんな嘘つくみたいな面倒なことしないよ」
「だけど、こんなの」
「事実だろ。麻薬と臓器売買に関しちゃあ随分汚いことしてんだねえ。知らないわけないわな。お前も手ぇ汚してんだから」
「違!私は、何も!お父様がやってることよ!」

思惑通りに言っちゃったよ。

「うん知ってる。でもやってるって知ってんのは認めたね」
「あ…!」
「脳みそ足りてないんじゃないの。簡単な誘導に引っかかっちゃって」

違うか。脳みそ別のことにしか使ってないのか。違う使い方しろよな。
にやりと笑ってオレは机にかけてあった鞄を手に取った。帰ろうかね。居場所はないけど。

「時期にボンゴレの使いが来るよ。おんなじの送ったから」
「!」

当たり前じゃん。仕返しのかわりだよ。面白いものが見れたし白蘭にも報告しなきゃね。

「…ツナ!」

だから早々に帰ろうと教室の前のドアの前に来た時だった。呼び止めないでよね。

「なあに山本」
「ごめん、な」
「すみませんでした!」

わあ今更。またも耐え切れないで笑っちゃったよ。腹抱える程ではなくてもさ。

「アハハ、さっき言ったことをもう一度言おうか。キミタチがオレにしたこと、知ってる?」
「そのことは…」
「それは…」
「山本も獄寺君もは殴りつけるし、凶器でも山本は殴ったよな。獄寺君は火傷作ってくれたし」

しっかりと腕についた傷や跡や痣を見せてやる。やってませんなんて言わせないし。

「ごめんで済んだら警察いらねぇんだよ」

ちなみにマヌケな女の子のことは父親も一緒に警察に言うつもりだけどね。仕返しその二だよ。

「ま、謝ったから警察には黙っといてあげるよ」

警察と言う単語に絶句している三人に、にっこり笑ってじゃあねとオレは教室を出た。さあて、明日はどうなってることやら。











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ごめんで済んだら警察いらねぇよ
って綱吉に言わせたかった。
口悪くもしたかった。

嫌われ味方で白蘭も
いいかもしれない…!

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