嫌われ設定。
リボーンの思惑により
綱吉、一部記憶喪失
















「誰?」

一ヶ月前にツナへのいじめが始まった。たった一人の女に学校中の一部除いた生徒や教師が騙され、ツナがはめられて。一部とはツナに近かった者達。ツナの友人だ。
だがマフィアには裏切りはつき物。しかしこいつに裏切りが耐えれる精神はなかった。故にそれを鍛える為に、俺はツナの周りの人物達に騙された振りをしろと言った。獄寺なんかが抗議をしてきたが、ツナの精神を鍛える為だと言えば、それならばと頷いた。だが振りだ。その為一切の手出しをこいつらにはさせなかった。裏切り者の振りの為、罵声は浴びせるようにと、暴行を受け始めてからは助けるなとは言ったが。
そして一ヶ月経って、そろそろお前を信じてない奴はいないとネタばらしをしようと俺達がツナの部屋に入ればあの言葉だ。

「ツナ?」
「じゅうだい、め?」
「君達は誰。十代目って何」

誰だと?ダメツナなりに考えた、今まで俺達がしてきたことの当てつけか。

「俺達がわからんのか沢田!」
「なんの演技だダメツナ」
「なんでオレのあだ名知ってんの。てか君は帰らなくて良いの?両親が心配するよ?」

様子がおかしい。獄寺も山本も了平も、駆け寄ったままア然としてしまい頭が働いてねぇ。じっとツナを見つめてみた。表情はあまり変わらねぇな。だが、これは俺が初めてこいつと会った時の表情じゃねぇか。

「ねぇ誰なの。人の家に入り込んで。不法侵入?母さーん!」
「落ち着けツナ!」
「極限に俺達は不法侵入ではない!」

慌てて二人がツナを止めるが、これは、なんだ。演技じゃないのか。

「十代目!俺達は仲間でしょう!」
「仲間?なにそれ?オレ軽く話す人は学校にいても、友達と呼べる人はいないけど」

ツナの眼が、冷たい。裏切られた憎しみでも、怒りでも悲しみでもない。感情がこもってねぇんだ。
そこにツナが呼んだママンがどうしたのと顔を覗かせた。

「ねぇ母さん、この人達は誰?母さんの知り合い?」
「ツっ君?何を言ってるの?皆ツっ君の友達じゃない」
「母さんこそ何言ってんの。オレの知らない人達だよ」

母さん大丈夫なの、なんて言うツナは本当に俺達がわからないのだ。いや違う記憶から消したんだ。
時期ボンゴレであってもツナはまだ中学生。それがいきなりあんなイジメにあい、友達だと思っていた者は皆自分を信じてくれない。それがどれ程苦痛か、俺は自分の物差しでしか見ていなかった。
精神を鍛えると言って見ていたくせに、俺は徐々にこいつの精神が壊れかけていたのに気付かなかった。きっとギリギリのラインでしかツナはツナでなかったというのに。

「ツっ君……?」
「ママン、大丈夫だ。だから下に降りといてくれないか?」
「え、ええ」

ママンが下に降りたのを確認してから、もう一度ツナに向き合う。やっぱり不審者を見るような目でしか俺達を見てはいない。

「十代目!本当に俺らがわかんないんスか!」
「ちょっ、何!だからオレは君達なんて見たことも初めてだし、まず十代目ってなんだよ」

縋り付く獄寺をツナは振り払う。いつもなら仕方ないなといった風な顔で許容していたのに。
精神崩壊したからか、今のこいつはダメツナじゃない。ダメツナは知らない人間にはびくびくとする、臆病者な奴だったハズだぞ。

「沢田…お前は本当に…」
「何?てかさ、オレ知らない人を部屋にいれるのって好きじゃないんだよね」
「俺達はお前の友達なのな!」
「だから違うって。仮に君達がオレを知っていたとしてもオレは知らない。つまり一方的であってオレの知り合いではないの。わかる?」

物分かりの悪い子どもに諭すような、そんな口調だぞこれは。だとしてももう少し感情がこもっていても良いとは思うがな。

「ツナ、お前が俺達を忘れているというのなら、今からまた」
「またって何。何も君達からはいらないよ。ただ今すぐ出て行って」

さあ早く。ママンが閉めた戸を開けて言い放った。
これは、もう俺達の知る沢田綱吉じゃない。沢田綱吉は人に出て行けと、拒絶するようには言わない。言えない。

「突っ立ってないで早く。歩けるでしょ。出て行って」

拒否をなくすような言葉に渋々皆が出て行く。ああ、俺はなんと取り返しのつかないミスをしたんだ。










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裏切られた時に強く精神を
保ってられるかを見た
リボーンさんと
耐え切れず壊れた綱吉さん

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