嫌われ後の復讐
綱吉と黒曜の10年後














10年前のあの日からオレは消えて、死んだ。楽しかった日々は過ぎ去った。オレと似てたようで似てなかったあの男が全てを奪い去った。

突然現れたアレはダメツナによく似てた。勉強、運動は平均だったけど、性格が気弱なところとか。
現れて一ヶ月経ったくらいにボンゴレをくれとか言われた。自分もボンゴレの血族だからくれ、と。あの当時、優しかったオレはボンゴレのしてきたことを似ていたアレに背負わせたくなかった。よって答えは、拒否。丸投げしてやれば良かったと思うけど今更だし。
そしたら次の日アレはボロボロで学校に来た。オレにやられたと言って。それを皆が皆信じた。いじめられっ子が自分より弱いいじめられっ子を見つけたんだと考えたんだろう。
そこからオレのすべてが狂い出した。
アレにとっては楽しい、オレにとっては地獄の日々に早変わり。友達も先輩もオレを傷付けていった。肉体的にも精神的にも。オレの肉体は数日で、精神もその後すぐボロボロになった。
頭は悪かったけど、こいつはダメツナになんか似てないってそんとき気づいた。遅かったのが悔やまれる。
一番傷付ついたのは両親が信じてくれなかったことだけど。自分の耳を疑ったね。
ボンゴレリングも家庭教師だった奴にぶん取られ、精神崩壊しそうな時に一番信頼してなかった奴に助けられた。条件付きで。


「ボス…?どうかした?」
「んーん。なんも。なんで?」
「…重苦しいような楽しいような顔、してる」

ソファの隣に座ってるクロームは不安げな顔していた。大丈夫だよと笑ってやれば安心したようだ。笑ってる方が可愛いよな。

「綱吉君…」
「下心はない」

机を挟んで向かいは骸。隣には犬でそのソファの後ろに千種が立ってる。

「…なんのことですか。まぁいいですけどね。今夜ですよ。大丈夫ですか」

愚問だと答えれば骸は口の端を吊り上げる。
今夜、ボンゴレを襲撃する。昔行った10年後では白蘭だったけど、この10年後ではオレ達5人で。人数的には無謀なこの計画。けど勝算あってのことだもちろん。
行方不明イコール死亡とみなされる世界で、オレを行方不明としたのは当時ボンゴレ10代目霧の守護者のクロームと骸だった。今もしてるけど。もうすぐ裏切り者になるけども。
オレを助ける時の条件とは『マフィア撲滅への協力』というなんとも骸らしい条件だった。
そこから10年、手当たり次第に修業して鍛えた。オレが20歳になる頃に、オレ達がボンゴレなどには内密に復讐者と取引をして骸本体が出てきてからは更にがむしゃらに。やるだけやって、裏の社会で名前を変えて殺し屋なんていう職業を始めてみればすぐに実戦経験も詰まれていって、うなぎ登りに知名度は上がった。依頼も代理人を立てるか、画面越しという正体不明の凄い奴らがいると。あっという間にその世界の人間ほぼ全てに名前が知れ渡り、一目置かれるくらいまでになった。
その力はたった数人であのヴァリアーに対抗できる程だ。正確には半分弱の2人で対抗できる。当然ボンゴレにも一目置かれてる。正体不明の殺し屋の中身が、昔葬り去った沢田綱吉達だとも知らずにね。

「なあ、骸。もうダメツナだった沢田綱吉は死んだんだよ。あの頃を懐かしむことはあっても、一人の人間を精神崩壊させるような奴がのさばるマフィアなんざ潰した方がいいだろうさ。それにオレはもう後戻りできないし、する気もないよ」
「そうですか……安心しましたよ」
「当たり前だろ。今のオレはお前らを信頼してる」

優しい優しいダメツナはもういない。殺したのはボンゴレだもの。因果応報ってやつだ。

「骸しゃん!そろそろ時間らびょん!」
「…めんどい」
「そうですね。千種、今回だけは面倒臭がってちゃ駄目ですよ」
「…わかってます。望み、ですから」
「クフフ…クローム、準備はいいですか」
「はい」

最後に目線だけ骸はオレに向けたから、頷いてやった。大丈夫。オレはいける。

「行きましょうか」

骸の言葉を合図に今いた部屋から皆出て行く。足取りは軽い。この一歩一歩がアレらの破滅への一歩となる。
さあ、ボンゴレ壊滅という喜劇を始めようか。
















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この綱吉は元々はスレてないんです。
スレちゃったんです環境で。
骸以外ろくに喋ってない←

女じゃなくて男ってあんまないですよね。

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