10年後リボツナ
「入るぞ」
任務を終えてボンゴレに戻ってきた。だいたい一週間ぶりだろうか。
そんなことを思いながら扉を開ける。ノック?いらんだろ。声かけた。
「あ」
あ?おい、固まってんなよ。
執務室のでっかい椅子に座ってタバコ吹かして。タバコ?待てお前タバコ?
「おい…」
「やぁおかえり。北の料理は美味しかったかい?」
「あぁ美味かったぞ。そうじゃねぇだろ」
「それは何より。何がだよ」
さもなんでもない見たいな言い方しやがって。逆に俺が固まるっての。
「何が?タバコしかねぇだろうが」
いつからコイツはタバコなんてもんを愛用するようになったんだ。
そりゃあな、てめぇが童顔だからタバコの一つくらい吸えるようになっとけ、って言ったのはこの俺だ。22になった時に言った。記憶してる。
歩み寄って行っても笑顔張り付けたままっていうのは、俺の教育の賜物って思っていいのかこれは。
「んー、ストレス溜まるんだよね」
「だからって獄寺みたいなこと…」
「いやあんなヘビィじゃないし。一日一箱くらいだよ」
だからってお前。ツナを溺愛してる狸爺共は泣くぞ。俺も驚愕だぞ。泣きたいくらいに。むしろ泣きたい。
そんな俺の内心を知っているのか、ツナはにやりと笑う。こんなニヒルな笑みは見覚えあるぞ。
「蝶よ花よ天使よ、なぁんと気持ち悪いこと。たまんないよね」
「……ツナ、周りは知ってんのか」
読心術使いやがって。教えたの誰だ。俺だ。しかも手ぶりまで付いてるなんてな、爺が哀れになってくるぞ。裏側なんて見たくもないだろう。
その他にもこいつの周りもわりとこいつを溺愛してる者は多い。守護者筆頭に部下達もだ。
「ああうん。隼人は自分ヘビィのくせに吸い過ぎないでくださいね、とか言うし、山本も似たよーなこと言ってたな」
誰一人止めることはなかったのか。いや、止めれなかったんだろうな。苛々してる時のツナは俺でも出来るなら近寄りたくない。日本の深夜のタクシーの如く、毒舌も割り増しされるからな。
「ランボと了平さんは身体に悪いって言ってたけど、んなこと知ってるし。だから控えるようには言われたけどね。けどこんな職業だから太く短くでもありでしょ。ま、うちの医療班は優秀だから大丈夫じゃないの」
あっけらかんと頬杖を付いて言うコイツには何を言っても無理だろう。経験上知ってる。
「雲雀と骸は…」
「なぁんにも。雲雀さんはあっそで終わったし、骸は早死にすればいいって。ひどいよねー。俺あいつより生きてやるし」
止めることはないだろうなあ!知ってたさ!
頭が痛いと額を抑えていればけらけらと笑いやがる。シメてやりてえ。
「シメれないっしょ」
ムカつく。ボスになってからも鍛練を欠かさなかった為か、今では俺も敵わなくなった。喜ばしいことだがやっぱりムカつく。
「っせえ!女じゃなくてタバコかよ…」
「女は面倒なんだよ。後腐れないのは限られてる。タバコは人じゃないからね」
女の方がマシだったかと言えばなんとも言えないが。愛人をほとんど作らないのは今の言葉通りだろう。
「ねぇリボーン」
不意に呼ばれて目線をやれば、妖艶な笑みを浮かべてこっちを見ていた。誰だこいつを天使とか言った奴は。悪魔だろ。
「甘いけど苦い、ビター味を味合わせてやろうか」
悪魔らしくね。
そう言うことを言うようになったのは俺のせいか。だったら、そうだな。悪くない。
「やってみろよ」
答えればツナは立ち上がって、両手を俺の首に回した。
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大人なリボツナ。
無邪気に毒吐く綱吉も好きです。
臭いは香水で消してるんだと思います。