小さなお店
2012/08/15



話が終わり、家に帰ればすでに用意された荷物と共に奈々が待っていた。満面の笑みを浮かべたまま、キャリーバックを渡され少々綱吉は面食らう。

「あとね!家光さんにこれも渡してね!」

なんて手紙を渡され、あれよあれよと言う間に空の上にいた。久しぶりに日本を離れる綱吉に用意されていたのはファーストクラス。こいつらなら当然かと思いつつぼんやりとしている間に着き、あれよあれよで大きなビルの前。

「…やっぱ帰りたい」
「今更何吐かしてんだ」
「だってここ…」

日本の支部よりでかい。そう言いかけて止まる。当たり前なのだ。本社なのだから。

「おー、来たか」

浮いた日本語。元気は良いがどこか拍子抜けするような声。
綱吉が振り返ればやはり、というべきか。スーツを着て豪快に笑うおっさん。否、実父である。奈々の言った"家光さん"だ。

「父さん…」

うきうきと歩いてくる彼をげんなりとした様子で綱吉は見る。それでも気にせずやって来る彼は、相変わらずというのがぴったりだと思う。

「元気そうだな!電話しても出てくれないし、メールも返してくれないし、寂しかったんだぞー」
「家光。綱吉は連れてきたからな。後は任せるぞ」

綱吉が口を開こうとしたのを遮るようにザンザスは言い放った。その瞬間嘘だろう、と綱吉は彼を見上げる。ありえない、と。
なんだかんだ言ってもフォローに回ってくれる兄貴分がいるから来た。それがどうだ。その兄貴分は今ここで、この場から離れるというのだ。綱吉の心境的には辛い以外何物でもない。

「もちろんだ。息子は預かる」
「ちょっ!…ちょっと待って!」

頭ではどこかでわかっている。しかし、それは許さないとばかりに綱吉は反論する。

「ザンザス行くの!?」
「俺も仕事がある。暇じゃねぇんだ」
「す、スクアーロは!」
「こいつに仕事がありゃ俺だってある」
「そんな…オレ一人ぼっちなの!?」

俺がいるとばかりに自分を指差す父親など眼中にないらしい。必死に訴える綱吉にザンザスとスクアーロは顔を合わせた。

「諦めろ」
「まぁ…頑張れ」

精一杯の言葉だろう。二人がかけられるのはこれくらいだ。ちなみにもはやいじけてしまった家光も二人とも眼中に置かないらしい。

「オレ日本に帰るぅぅうううっ!」

ボンゴレ本社の出入口で、日本人の虚しい叫びがこだました。




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家光はまた後で。
まだ設定決めてないとか
そんなあれじゃなくて、うん。




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