小さなお店
2012/03/21




無理に車に入れられ、連れて来られたのは大きな高層ビルの前。彼らの言う日本支部である。

「いつ来てもでけー」

またもや黒髪の男に小脇に抱えられ、綱吉は見上げる。逃げようとしたのをまた捕らえられた為にそうなっている。

「ドカスが。あのまま入ってりゃこんな目に合わなかったんだ」
「いやいやいや!オレにこんなデカイとこ継げとか馬鹿じゃん!」

だから降ろせと言う綱吉の言葉虚しく、そのまま彼は中へと入って行く。銀髪も後に続き、これは逃げ場はなくなったと心底ため息をついた。
受付を素通りし、エレベーターの方に向かう。行き交う人々は奇妙な物を見るような目線で自分達を見ていた。気にしない二人はともかく、綱吉は恥ずかしさでいっぱいである。知り合いに見られたら嫌だなあ、なんて少し頭を過ぎった。

「なあザンザス」
「あ?」
「なんでイタリア飛ばないの」
「本社か?知るか。ジジイに聞け」
「…そ、ですか」

黒髪ことザンザスもそこそこ苛々しているらしい。当然と言えば当然だ。元々プライドが高く、人に指図されることを嫌う。反抗期にザンザスにジジイと呼ばれている父親と、回りを巻き込んだ親子喧嘩したのは今でも語り継がれている。
黙々と歩みを進めている彼らに、綱吉は本日何度目かわからないが色々と諦めた。宙ぶらりんでザンザスに抱えられている。エレベーターに乗る際もそれで、他にも人は乗っていた。小さな箱の中、周りはやはり少しビクつきながらもやはり向けられる視線は変わらない。

「喉渇いた」
「渇いとけ」
「ひど!ねぇ、スクアーロ」
「俺にふるな!」
「いいじゃん!お茶でも水でもいいから!自販機あるでしょ」
「…しゃーねぇなぁ」
「やった!さんきゅ」

そんなやりとりすらも社員達からは好奇の目だ。
親戚ではあるが、人一人を拉致して連れてくる彼らは言わば幹部。しかも後からの子会社ではなく親会社から分岐した企業の幹部とその会社の代表取締役である。そんな彼らにタメ口きいて、飄々としているコイツは誰だとなって当たり前なのかもしれない。
次第に社員は降りていき、三人になる。しばらくすればチンという音と共にエレベーターが止まった。扉が開けば現れた見知った顔。

「……ツナ?」
「…リボーン」

思わず目を伏せた。まさかここで働いているなんて。そんな気持ちが溢れるように出て来る。しかも今だ綱吉抱えられ続けている。見られたくなかった。常連客で、顔見知りである人に。

「知り合いか」
「まぁな」
「…うちの常連客」

そんなザンザスにタメ口を聞くリボーンもリボーンだが、本人達は気にしないらしい。エレベーターから降りても目を横に背けたままの綱吉とそれを凝視するリボーン。
よほど驚いたのか、リボーンが乗るはずだったエレベーターは行ってしまった。彼はそれでも構わないらしい。

「おま、どうしてここにいるんだ?」
「その、拉致られて」

見てわかれと歎きたくなる。好きで抱えられているわけではない。

「いやだから。お前はこのボンゴレの社員でも取引先でもないだろ」
「…もう違うと思ってたんだけどね」
「そのうち分かることだ」
「まあ、いずれ説明してやる」

ボンゴレとは今いる企業名である。創業者が二枚貝が好きだったらしい為、つけらたのだと噂でリボーンは聞いている。
それだけ言い残せばリボーンを置いて二人は目的の場所まで歩き出す。リボーンは訳がわからず三人を見送るしかできなかった。疑問を浮かべながら。

「'もう'ってどういうことだ」







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ザンザス(XANXUS) 32歳
ボンゴレの子会社ヴァリアー(子会社ってもでかい)の代表取締役。
原作よりは丸いがやはり性格は荒い。厳ついの代名詞。ヴァリアー内暴力は健在。主に幹部連中。好物は肉。
綱吉は割と気にして目をかけている。ジジイこと九代目の実子。反抗期に大喧嘩して、今でもその痣が残っている。それに触れれば逆鱗に触れる。綱吉に一回負かされたという裏設定があったり。

スクアーロ 32歳
ヴァリアーの幹部。と言うよりザンザスの秘書。大半ザンザスのやらなきゃいけない仕事を押し付けられる。
口は悪いが実は割とぶっきらぼうな優しき苦労人。でも手荒い。ザンザスにカス鮫と言われようともう気にしない。

ボンゴレ
九代目ことティモッテオが代表(社長)の企業。かなり古い。異種業種に幅広く手を出している企業。コングロマリットではなく一応コンツェルン(ホールディングズ)もしくはグループといったところ(調べたけどつばさの頭は理解するには足りなかった)
子会社に原作同盟ファミリーがあるんだと思う。ちなみにチェデフある。子会社。

いまいちよくわかってない企業用語と関係なんですけどね。元は何にしよう。IT?私全然詳しくないけど。



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