ピロートーク
2012/01/30


エロはないけど情事後。
苦手な人は注意!






オレは俯せで携帯を触りながら、彼は座って通話をしながら。同じベットで、二人とも裸で、暗い月明かりと電子的な光が目立つ部屋にいた。

「喜べツナ。明日には片付きそうだってよー」
「それは良かった。早いに越したことはないからね」

通話を切って、彼はオレにそう言った。オレはオレでパンクしそうな情報に頭を使う為、彼の方を見る余裕なんてない。

「…なんかさあ」
「なにー?」
「ムードもへったくれもないな」

情事後。恋人や、愛人なら甘ったるい程の空気でピロートーク、なんてのが多いと思う。だけどオレ達は残念ながら、恋人でも夫婦でもないし、ましてや愛人でもない。そもそも男同士だ。強いて言うなら親友で、ボスと守護者という関係。

「今更?」
「今更。別に欲しいとは思わねーけどな」
「オレも思わないな」

ようやく全て目を通し終えて携帯を横に置いた。軽く伸びをして目頭を押さえ、彼を見上げた。昔と変わらない顔して、彼もまたオレを見ていた。

「第一、恋愛とかうんぬんじゃないからね」
「セフレ?」
「なんか嫌だけどそうなのかなあ?欲求の解消じゃないの」
「利害の一致とも言うけどな」
「山本だと気楽だしね」

あまり好きくはない言葉ではあれど、ただヤるだけという今この関係だけは山本の言うセフレと言うのが合うのだろう。一番気兼ねせずに、気負いもせずに付き合える彼とはいつの間にかにそうなっていた。
オレの顔を見て、頭に手を置く彼ではあるが甘さがない。中学から変わらない雰囲気だ。

「明日も早いよー?」
「うげ。眠たくなってきたけど、このままはまずいよなあ」
「まずいよねえ。パンツくらいはいといて」
「ツナもだぜ?」
「わかってるよ」

もぞもぞとベットの下に落ちているパンツとズボンだけを取り、面倒だからとオレは布団から出ずにそれらをはく。そんな様子のオレを笑って彼はきちんとベットから降りる。
あ、爪の跡と赤い消えかけたキスマーク。背中の爪はオレでも首筋にあるキスマークは違う。だからそれはきっと別の人。

「山本、別れたの?」
「ん。こないだな。あいつが馬鹿なことしたから別れた」
「ふぅん」

割と綺麗な人だったのに。もったいない。何したんだろう。セックスに嵌まったか薬に嵌まったか、そんなとこかな。勘は良いから。

「ツナは?」
「オレは最近皆海外とか仕事が忙しいらしくて」
「大変だなあ」
「大変だよね」

三人一気に皆いるのもしんどいんだけど、オレが。結構淡泊だから。恋人じゃないからか、皆理解してくれるのは有り難いんだけど。

「ま、相手してくれる人がいるならこんなことしねーしな」
「確かに。完全にカラダだけだし。心は満たされないしねえ」
「ツナと馬鹿騒ぎしたりしてる時は満たさるんだけどな。違うもんだよ」
「付き合い方の違いって大事」
「それそれ」

ズボンをはき終えて、まるで風呂上がりみたいな半裸の状態で山本はソファに腰を降ろした。ソファには薄めの掛け布団も用意して、本日の彼の寝床である。
オレもまたベットに潜り込んでまどろむような意識の中、ぼんやりと会話をしていた。愛人とはありえない。

「あー、オレそろそろギブ。眠い」
「オレも。寝るわー」
「ソファだからって風邪引かないでよ」
「オカンかお前は。馬鹿は風邪引かないの」
「はいはい。おやすみ」
「おやすみー」

布の擦れる音が聞こえて、オレはそのまま眠りに落ちた。
朝起きたら、何事もなかったかのようなオレ達。飲み過ぎで寝たんだと言う嘘をついて、親友でボスと部下なオレ達なんだ。





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山ツナのセフレ(?)話。
友愛はあるけど、恋愛感情はない。リボツナと迷ったけど、一番何事もなくて日常生活でも何も言わなさそうだと。
本命は獄ツナとリボツナなんだけどなあ。獄ツナだとこんな話は書けないから、リボツナでも良かったか。ま、今回は山ツナです。

短編でも良かったけど、少々お下品なのでこちらに。



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