小さなお店
2011/09/08




ぱちくりと目を開く京子。綱吉は綱吉で、大きな声で他の客から注目を浴びることになり、素晴らしい影響スマイルを浮かべた。

「すみません。お気になさらないでください」

穏やかなのに有無を言わさないように、客達にそういえばそれぞれ自分達の話に戻っていった。

「すみません…」
「ごめんなさい…」
「いいけど。で、なんだって?」

二人の声が被さりよく聞こえなかったのだ。京子もくすくすとしゅんとする二人を見て笑っている。

「お兄ちゃん、って?」
「笹川了平さんの妹さんだよ」

生で見た獄寺はそれは信じられなかった。あの熱血のボクシング野郎と兄妹なんて、どこをどう見れば繋がるんだ。言葉には出さないが呆気にとられる顔にはそう書いてあった。

「ハルなんて言った?」
「えっと、そちらの方は笹川、京子さんですか?」
「知ってたの?」
「やっぱり!」

ぱぁっとハルは顔を明るくさせた。呆気にとられていた獄寺も、正気に戻り今度は疑問符を浮かべていた。

「ここの店員さん?」
「そう。銀髪が獄寺君でこっちの女の子はハル」
「前に話してた大学生さんね。笹川京子です。ツナ君の同級生なの」

人の良さそうな笑顔を二人に向けた。夜に来ることがない京子は二人ともが初対面だ。
どうもと軽く会釈をする獄寺と、おなじく自己紹介をするハル。くわえてハルは京子との間に一つ開けていた椅子へと座り直す。

「雑誌見てます!もう、ホントに感激です!」
「見てくれてるの?ありがとう」
「あ、握手してください!」

私でいいなら、と京子は手を差し出した。ぎゅっと握るハルは憧れの目を彼女に向けっぱなしだ。

「なんなんスか?」
「あ、そっか。テレビあんま見ないって言ってたね」
「はぁ…」

女性陣二人に微笑む綱吉に獄寺は尋ねた。一体何が感激なのか、どうしてハルのテンションがいつも以上に上がったのか。わからない獄寺には綱吉に聞く以外ない。

「読者モデルってあるでしょ?京子ちゃんそれやってるんだ。テレビはちょこちょこしか出ないけど、雑誌には毎回載るくらい人気みたいだよ」
「げいのう、じん…」
「そうだねー。ちなみに山本も同級生」
「綱吉さん………」
「どしたの?」
「や、なんでもないっス」

今度もなにかあるんだろうか、とは思ってはいた。だがまさかテレビに出るような人と友人とは、この人の友人関係はもうわからないと獄寺は思う。周りが濃い、個性的とは聞いたことがあったが、ここまでとは思いもしなかった。

「あ、聞いてツナ君!」
「ん?」
「私ね、今の雑誌の専属モデルになるの」
「マジか!そりゃおめでとう!」
「はひ!おめでとうございます!」
「ありがとう」

ふふっと笑う京子は喜びに満ちていた。






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笹川京子 24歳

笹川了平の妹。読者モデルから専属モデルへとなった(そこら辺はつばさが詳しくないので流してください)。綱吉、山本の中学高校の同級生。
モデルへは大学生の時に声をかけられて。ちなみに保育科だった為、保育士の資格あり。保育士になるのも迷ったのだが、綱吉や親友(花ちゃん)に相談。
「モデルなんて若いうちしかできないよ。保育士もそうかもしれないけど、やれそうならやってみたら?」
なんて言われて読モとなる。
性格はほややんとした和み、癒し系の天然さん。割と大人しい優しいイイ子。裏表がなくて誰からも好かれやすい。
ナッツには昼にたまに来る。

過去綱吉となんかあったとかなかったとか(つまり未定)。女優さんへの転職もありかな、とは思いつつ私が全く詳しくない。



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