十年後
2011/09/05
ちょっと血生臭い?です。
濁った、白い煙が立ち上がる。彼が息を吐いてもまた、おなじく煙が口から吐き出される。片手には火種が紅く燃えていた。
見た目からしておおよそ似合わない彼なのだろうに、どういうわけかその不釣り合いがまた釣り合ってみえた。おそらくは彼の浮かべる表情だとか雰囲気によるものだろう。
「随分とナメた真似、してくれましたね」
声変わりを向かえ終わった成人男性からすれば少々高い声。東洋系の幼い顔立ちや低めの背格好からすれば違和感はない。ただあるとすれば、現在の見た目だ。
「情報を横流しなんて、ね」
一歩一歩と己のターゲットであろう男に彼は歩み寄る。血に濡れた色素の薄い髪、頬、べっとりとついているのが白いシャツには鮮明に映る。
「俺は、ただっ、あいつらが!」
必死な形相で尻餅をついて男は叫ぶ。立ち上がれないのかそのまま後ろへ下がろうとして。
彼は煙草を口にしてまたおなじく紫煙を立ち上らせる。更に紅く燃える火種が薄暗い部屋で、彼の顔についた紅い血を映えさせた。
「何を今更。欲深い方だ、金に目が眩んだんでしょう?」
濁った煙を吐き出して口角だけを上げて彼は笑う。不敵で全てを見透かしたようなそんな目をして。
「頼む!助けてくれ!頼む…!」
何度も男は懇願した。それでも彼はまるで聞こえないとでも言うように歩みを止めることをしない。
「…ルール違反の末路くらい、解ってるはずだ」
ぴたりと歩みを止めて彼は男に言い捨てた。
「クッソォォオ!」
プツンと切れたように男は立ち上がり、胸元に忍ばせた銃を取り出した。構える間もなく彼目掛けて引き金を引く。そうしたかった。
「遅いですよ」
一発の銃声が響いた。
男が懐から銃を取り出し終わる頃、彼が手に持った煙草を落として照準を男に合わせ、既に引き金を引いていた。
「あー、獄寺君?終わったよ」
静かに白目を向いて倒れた男をちらりと見て、彼は携帯をかけた。
「うん。すぐ戻る。情報操作の類はハル達にお願いするから」
うんうんと軽く相槌をうった後、携帯を切り懐のポケットへと閉まった。ついでに煙草とライターを取り出し、くわえて火をつけた。
「ヤめたいんだけどなあ。もう無理だろうなあ」
一人になったその部屋で、響いたのは成人男性にすれば高い声だった。
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最後のヤめたいは
どう捉えるかは読む方次第ですね!
この綱吉はスレなのかな?
それともただ黒いだけなのかな←
煙草のお話が書きたかったんだ…
今度禁煙話も書きたいー
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