宵様に捧げた『こんな俺を誰か助けて下さい』と微妙〜に繋がってるかも --- 朝。 眠たさの中よく分からない身体の不自由さに渋々目を開けると、何故か超至近距離に臨也の整った顔があり、そして目が合った。3秒後、臨也が口を開く。数えてたのかって?うるせえよ! 「あ、起きた?おはよう」 まあここまでは良い。いつも通りだ。毎度毎度驚いていたらきりがない。ただ、いつもと違ったのがこの体制。臨也は俺の左右の手首をそれぞれ自分の手で布団に縫いつけて、薄い布団の中で仰向けの状態の俺の腹を跨いでいてもう端から見たらなんか押し倒してますよーみたいな体制だった。何冷静に説明してんだ俺 ああそうか夢か、夢ならしょうがないよな、でも押さえつけられてる手首の痛さは本物だ、いてえ 「起きた?じゃねーよ何してんだよ!おま、何して、つーか誰の上に乗ってると思って、」 「やだな、夏木くんの上だよ…そんなにパニックになっちゃって、かわいいなぁ」 「……〜〜っ、もういい、早くどけよ!」 「あはは、睨むのは良いんだけど顔赤くしてたらかわいいだけだよ」 俺は言い返せなくて黙り込んでしまった。違う、別に認めた訳じゃない! その後臨也が手を放してくれたから、上半身だけ起きてやった。 でも、まだこいつは俺の上から退いていない。膝立ちで俺の事を見下ろしてくる。 いい加減離れろ!と抗議しようとして、臨也の顔を見ようと上に顔を向けると、臨也は微笑んでいた。けどその瞬間ぞくっと冷たい何かが背筋に走った。ややややばい。笑ってるけど笑ってない!どうしよう。 身体が一瞬で凍り付いたみたいに、俺は動けなくなった。目も逸らせない。 いいい臨也、まさか…怒ってる?……俺、何かした?あ、もしかして、昨日俺が平和島さんに抱えられてこいつに構ってやらなかったから!? 臨也はニコニコと他人が見たら吐血して倒れそうな(俺にとっては恐怖以外の何物でもない)スマイルを浮かべながら、俺の両方の肩にそれぞれ手を置いた。反射的にぎゅっと目を瞑ってしまって、そのまま下を向いてしまった。 「夏木くん」 「っ、…は、い……?」 自然と俺の口調も敬語へ。 「俺の目見て。」 「…………?」 言われた通り目を開いて、臨也を見る。当たり前だけど目が合った。 「俺、別に怒ってないよ?」 「え………」 じゃあ、何でそんな、 俺が困惑と戸惑いを隠しきれないような声で質問すると、 「夏木くんはこうするといつも大人しくなって素直になるんだよなぁって思ってさ」 こう返ってきた。 まさか、 「ちょっと、からかっちゃった……てへっ☆」 「て…てへじゃないですよ……、俺本気で、マジで怖かったんですからね!?」 「ごめんね、でも面白かったからいいじゃないか」 「面白かったのはあなただけですよ!」 まだ敬語が取れない。 なんだよ……もう俺この人いやだ……本当に顔はいいのに性格が悪すぎる。き、嫌いじゃないけど。 他にも色々な意味を込めてじっと臨也を見つめると、臨也はかわいい。と言って膝立ちのまま背中を曲げて、俺の頬に自分の頬をくっつけてきた。 「あっ…ちょっ、…やめろよ馬鹿!」 「どうして?」 「どうしてって……」 恥ずかしいからに決まってんだろうがああああああ! 「夏木くんなんか熱い……ちょっと顔見せて」 絶対赤いから見せたくない。だから、滅多にやらないけど、俺は臨也の背中に手を伸ばして、臨也の俺から離れようとする身体を抱き寄せた。し、仕方なくだよ仕方なく! 「……夏木くんって最高……かわいすぎ……」 「うるさい!」 長い時間そのままの状態で居て、ようやく俺の顔から熱が引いたあと、俺は臨也の背中から手を引っ込めた。 そして臨也は幸せそうな顔で俺にこう言った。 「夏木くん」 「?」 「おはよう」 「!」 もう俺ダメだ、重症 (くっそおおおおお、こんな、こんな大人にキュンと来る俺なんか死んでしまえ!わああああ) (ふふ、ほんと超かわいーい) --- 自分で書いてて恥ずかしくなりました。(笑) ← |