「行こうよ」
「嫌だよ、めんどくさい」
「いいじゃん、遊園地くらい…一緒に行こう?」



「………今日だけだよ?」
「やった!ほら、はやく着替えて!」
「…しょうがないな……」



「ちっ!」


バーンは舌打ちをした。

あーイライラする。
なんで朝っぱらから、グランとガゼルのイチャイチャを見なきゃいけないんだよ!

ガゼル、なんでそんなに嬉しそうなんだよ…
なんで…俺じゃないんだよ…
なんで…グランなんだよ…!


「…?」
「…!」


そんなことを思ってたら、ガゼルと目が合った。


「バーンじゃないか。…君も行くか?」
「どこに?」

「どこって…遊園地「悪いけど、チケット2枚しかないんだ」」


…コイツ、自慢する気か!

グランは俺がガゼルを好きなのを知ってる。
だから、いつも見せつけてくる。
“俺とガゼルは恋人なんだよ”って、顔に書いてある。


「バーン…悪いな」
「きにすんな」


ガゼルが謝って来たけど、ガゼルは悪くない。
すべて目の前にいるコイツが悪い。
俺は、今の俺に出来る精一杯の笑顔で、ガゼルとグランを送り出した。
…かといって、素直に引き下がるかといえば、そうじゃない。
邪魔してやるつもりだ!
俺は、何か無いかと、廊下を歩いていた。
すると、敵であるはずのヒートとアイキューが、何か話していた。

俺は、気づかれないように、近づいた。


---


俺はその会話にそっと耳をすました。



「…知りませんか?」
「知らないけど…どうかした?」

「いや、今日、ジェネシスが練習休みなので、ダイヤモンドダストがジェネシスのフィールドを使ってもいい、ってウルビダさんに言われたんだけど、ガゼル様がいなくて練習できないんですよ…」
「大変だな…で、何で僕?」
「いや、そちらのプロミネンスのキャプテン、ガゼル様と仲が良いじゃないですか、だからどこにいるのか知らないかな、と思って…」
「確かに…」


ガゼルと俺って、仲良いか?
…メンバー達って、キャプテンのことよく見てるんだな…

そんなことを考えていたら、足が勝手に前に進んでいた。

「あ、噂をすれば…」
「バーン様!ガゼル様知りませんか?」
「あ〜今はガゼルの部屋にいるんじゃないか?」


これは嘘じゃない。
俺は急いだ方がいいぞ、ともアイキューに言った。


「そうですか、分かりました!ありがとうございます!」
「おう!」


「…バーン」
「なんだよ」
「何考えてるんだ?」
「別になにも?…じゃあ俺行くから。」


アイキューが、きちんとガゼルに伝えてるといいけどな…
うまく行けば、遊園地行きは無しだ!


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俺の作戦は成功したみたいで、ガゼルはちゃんとダイヤモンドダストの練習に出ていた。
しばらく見ていると、後ろから声がした。

「今日も邪魔してくれたね」
「…グラン」

「いい加減諦めたらどうだい?もうガゼルは俺のだ」
「へっ!まだ分かんねぇぜ?何回でも邪魔してやる」
「往生際が悪いね」
「俺は、まだガゼルを諦めない!」

「俺はバーンには渡さない」
「どんなことをしてでも俺はガゼルをてめぇから奪ってやる」

「絶対負けないよ」
「絶対勝ってやる」



end

あれ…?
なんかグラガゼで甘いのを書きつつ、
バーンがちょっと嫉妬してる、的な感じの小説が書きたかったんですが…あれ?