こんこん、とドアがノックされる。

? 俺は誰かと約束でもしてたか?

俺はとりあえず読んでいた漫画をテーブルの上に置いて、たった今来たばかりの客を迎えようとドアの方へ歩き出す。

しかし、その誰かによって叩かれたドアは俺が返事をする前に、否俺がドアに手を掛けようとした瞬間に、何の躊躇いもなく開けられた。


「っ!?」


相手の予想外の行動に息を呑む。
…そうだ、こんなことをするのはあいつしかいない。


「………よぉ、ガゼル」


俺はこいつに驚かされたのか。
なんか………悔しい。
けどしょうがねぇから部屋に入れてやった。


「で、何の用だよ?」
「いや、…遊びにきた」
「俺の部屋に楽しいもんは何もねぇよ?」
「べ、別に、いい」


そんな話をしながらガゼルを適当な場所に座らせた。

ちょっと顔を赤く染めて言うガゼルは、ちょっと、いやかなり可愛い。
俺達は所謂、恋人ってやつだ。……今これ関係ねぇな。
にしても…ガゼル可愛い。あ?気持ち悪いって?んな事言うなよ。


考えてみろよ、これは俺の予想だけどな、ガゼルは俺に会いたかったんだと思うんだ。
お、俺と一緒に居たかっ「バーン?」



「あ、ああ」
「何をぼーっとしてるんだ、」
「ちょっと考え事してたんだよ」

「考え事?バーンが?……君そんな事出来るようになったんだね、凄いじゃないか!」
「てめぇ、俺を馬鹿にしてんのか?」


俺をからかって遊んでんだな。
ふと、机の上に置いておいた漫画が目に入る。
……そうだ。


「じゃあ俺、漫画読むから。」
「……え?」


と言って、俺は漫画を再び手に取り、読み始める。
もちろんこれは、わざと、だ。


「バ、バーン、……?」


焦ってるガゼルは正直可愛い。
いやガゼルは何をしたって可愛いけどな?


「…………っ、バーン!」


俺は何も答えない。
漫画に集中している、フリ。

暫くすると、ガゼルは俯いてしまった。
ちょっと、可哀想だったか?
笑って謝ろうと思っていたら、


「……っちが、…そ……なら、」


ガゼルが何かぼそっと呟いて、俯いていた顔を勢いよく上げた。
その瞳は、何かを決意したような色をしていた。

…………え、何を決意してんだガゼル?



---







や、やばいやばいやばい俺の理性がああああ!


今俺は、漫画を手にベッドに腰を掛けて座ってる、そしてその隣というか床に座っているガゼルに、腰に手を回されて横からぎゅーっと抱きつかれている状態。
何て言うか、色々やばい。

とにかく俺の腰に頬を擦り寄せるのはやめてくれ、マジで!

漫画を読みながらだが本当にきつい。
ガゼルには平然を装っているけど、心臓がばくばくしてる。


ちょっ…、でもこれすっげぇ可愛い。
ガゼルって普段は全然甘えてくれないから、俺今超嬉しい。
カオスでの練習もほとんど毎日あるし、
やっと会えたと思ったら他の奴に邪魔されたりとかして、あんま2人になれなかったんだよな。

でも今は俺の一番大好きな恋人に甘えられてて、本当嬉しい。
ガゼルから抱きついてくれてるなんて、久し振りだし。

まぁ、そういう状況にさせたのは俺かもしれねぇけどな。




「ガゼル………?」


少しだけ顔を下の方に向けて呼びかけると、


「っ、な、なに…?」


ガゼルは下を向いたまま答えた。
その顔は俺からでも分かるくらい、赤かった。

一言で言うと、可愛い。


「ど、うした?」
「っ馬鹿!」
「な、何で俺がバカなんだよ」
「君がそんな事言うから、私が赤くなってるんだよ!君のせいだ!」
「俺は何も喋ってな…」
「喋ってたよ!………ガ、ガゼルって普段は全然甘えてくれないから、とかって、」

「え……もしかしてガゼル、俺の心読んだのか……?」
「ちっちがっ、違う!バーンが…!」


ガゼルがばっと顔を上げて俺に訴える。
……俺が?


「ぜ、全部声に出てた」


え?


「どこから……?」
「…でもこれすっげぇ可愛いって、いきなり言い出した」


…………マジか。






「で、ガゼルは俺の心の言葉に1人で赤くなってたわけか、」


少しにやけながらガゼルの方を見て言うと、ガゼルは再び俯いてしまった。


だから、顔真っ赤だって。



「…耳まで真っ赤だな」

「っうるさい!」




「素直じゃないところも、好きだぜ?」

「わ、私も君のそういうストレートな所、好きだよ、」


可愛い可愛い、俺の恋人。

(だから、声に出てるって……)
(えっマジで!?)




終わり


『甘めで頑張ってバーンの気を引いてるガゼルさん』
というリクエストでしたが、
こんな感じでよろしかったでしょうか?
なんというか…すいませ(殴
期待に応えられてますでしょうか…
返品可能です(^^)/