ギャグっぽい、多分中2 高2でもいける
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「なんだ涼野、屋上にいたのか」
「…南雲」


やっと見つけた。一番最初に屋上探すべきだったな…

「ここは立ち入り禁止だって言っただろ」
「…ああ」
「それに俺の事も先生つけろって言ったはずだ」
「…分かったよ」
「敬語もちゃんとする!」

「………」
「返事は?」
「………………はい」


ったく、分かれば良いんだよ分かれば。まあ、明日になったらまた敬語使わなくなるかもしれないけどな。

実は涼野、中間や学期末テストではかなり点が取れている。どの教科も学年で十人、いや五人の内に入る程の頭脳を持つ。俺は毎回授業に出ていないのに点が取れる、そんな涼野の事が知りたくなった。そしてこの前親御さんへ電話をかけた。今更ながら勝手だったと反省してる。が、大した事は分からなかった。ただ、塾や通信教育は受けていない、そして自宅でも勉強をしている様子はない、という事が分かった。

ああもう面倒くせー!なら本人に直接聞いてやる!という訳で俺はここに来た訳だ。
が。
先程何故授業出てないのに点が取れるか聞いたところ、

「知るか」

と返ってきた。
とりあえずはまあアレだよなうんいやだからちゃんと敬語使えっつってんだろ!

そんな俺の気持ちが伝わったのか涼野は知りませんと訂正したあとに、この学校の授業は簡単過ぎる、だからテストだって簡単なんだと呟いた。

「簡単、だって?」
「ああ…じゃなくて、はい。」

おかしいな、ここの学校結構レベル高いはずなんだけどな!
難しい単元がテスト範囲に入っている場合、嫌でも点数は落ちるはずなんだが(実際クラスの平均点は下がっている)、学年一位二位を争う奴らを差し置いて、涼野は絶対に点を落とさなかった。


「…じゃあ、この問題解いてみろ」

「……」

「今面倒だって思ったろ」
「……思ってません」

俺は冗談で、大学入試だかで使われるような応用のプリントを渡した。はっは、これでも簡単って言えるか涼野。………え、何だよガキかって?うるせーな!プリントを渡してから5分ほどで、涼野が俺を呼んだ。まあ当たり前だけど分からなかったか。
だが、涼野は俺の予想とは全く反対の言葉を口にした。

「出来た、…ました」


「………は?」

「出来ました」

おいおい、早過ぎだろ…全部の問題解くのに最低でも15分はかかるはず…ってか、答え合ってんのか?

「…見せてみろよ………って、」

プリントに答えしか書いてねーじゃねーかあああ!
一応、これの答えを書いたメモと照らし合わせてみる、と。

「全部、…あってるし……お前、本当に2年生か?」
「そうだ、…ですけど」

当たり前だろ何言ってんだこの人っていう目で俺を見てるひどい!

「じゃあこの問題解けるか?」

ちょっとイラッとしたので、新しいメモに適当な問題を書いてぴらっとその紙を涼野に見せる。

「簡単すぎ」
「なっ……答え言ってみろよ!」
「0.64」

ちくしょう、合ってやがる…おま、全部頭ん中で暗算して答え出してんのか?
俺はもう一度紙に向かって問題を書いた。

「じゃあこれは!」
「59」
「これ「1892」…………っ」

なにこれつらい。
アレか!もう面倒だからさっさと答えちゃおう的なアレか!……まだ俺言い終わってなかったのに…………

「お前……ぐすっ……」
「な、何で泣くんだ」



「………じゃあこの問題で最後な」
「?」

「涼野お前、俺の授業だったら出る気あるか?」
「っ、…は、……な、なに言って…」

「じゃあな」


手を伸ばせば温かかった
(…珍しい、涼野が授業受けてる……)
(え?あ、ほんとだ、しかも南雲先生の授業だ)
(ていうか、南雲先生のこと嫌いとか言ってなかった?)
(でも涼野くんって他の先生の授業の時はあんま来ないよね)
(え、何それおいし(自重!)…はい)



職員室にて。
(あの…)    
(何?どうしたの?)
(南雲先生、)
(南雲先生?分かった待ってて、呼んできてあげる!)
(あ!じゃなくて!)
(……どうしたの?)
(…南雲、先生の、担当している教科って…、なんですか…っ)


さっき数学の問題出されたんだから数学の担当じゃないか、と聞いてから気付いた涼野さんでした。