!パロではありません
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「……おいおい、マジかよ」

誰だ、あいつ……いきなり撃ってきやがって。それよりここどこだ?


絶賛俺、逃走中!

そういえば逃走中っていう番組あったよな。俺、一度でいいから逃げる側やってみたかったんだよな……いややってみたかったけどそんな撃たれるなんて思ってなかったよ!…って、んな事考えてる場合じゃないな……
つーかあいつ、マシンガンとかそういう連射出来る銃で俺を撃ってきてるような気がする。嘘だろオイ。でも俺の耳と記憶が正しければどう考えてもそれだ。……俺大丈夫か?大丈夫なのか?俺はスーパーマンになった覚えはねーぞ!
あと心なしか背中ばっかり狙われてる気がする。俺があいつだったらまず逃げられないように足狙って走れなくするけどな。

それよりも不思議な事がある。
俺は自分で思ってるよりもたくさんあいつに撃たれてるはずなのに、何故か痛みを感じねえ。普段通り走れている。長時間のダッシュで少々疲れは出ているが、痛みのせいで走れなくなるという事はなさそうだ。いやそれもどうかと思うけどな。
少し心配なのは、撃たれたところから血が出ている事だ。まあ当たり前だけどな!……痛みがないから怪我の程度が分かんねえ……もしかしたら俺出血多量で死ぬんじゃねーの



色々考えて逃げ回っている内に、あいつはいつの間にかどこかへ消えた。
そういえば、辺りはもう真っ暗だ。少し歩くと、申し訳程度に遊具がある小さな公園を見つけた。よく見るとベンチもある。少し休もうと俺は足を進めた。夜の公園は静かで、人は誰も居ない。ベンチに腰を掛け、星一つ無い雲に覆われた空を見上げながら、小さな溜め息を吐く。
何気なく閉じていた自分の手のひらを開くと、べっとりと結構な量の血が付いていた。まああれだけ撃たれていたんだから無理もない。
自分の事ながら、他人事のように特に気にすることもなく視線を手にやったままぼーっとしていると、不意に近距離で人の気配がした。音なんて全くしなかった。だが不思議と恐怖や焦りはどこにもない。その相手がもう誰だか分かっているような、そんな感覚。
顔をゆっくりと横に向けると、風介が居た。やはり、驚きはない。が、風介の顔を見ると、それが覆されるような衝撃を受けた。

「ふ…風介、おま、それ、」

血、血が。
風介の顔に、血が。





「………う、ぁあああああああああ!」


その瞬間、俺は布団の中で目を覚ました。



「な、なんだ、…夢、か」



こわい、そして不安
(何であんな夢、……ふうすけ…っ)