!晴矢視点
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俺の部屋からヒロトと風介の声がする。
なんでだろう。俺は今外から帰って来たばっかりで、2人を呼んだ覚えはない。

「風介っ」
「来るな!あっち行け!」
「そんな事言わずに、ほらぁ」
「いや私は、あ、ちょっ、待っ、」
「大人しくしなさい!」
「嫌だ!」

「で、お前ら俺の部屋で何して……」

部屋の扉を開けながら、俺はそう言った。そのあと目に入って来た光景に、一瞬目を見開いた。

「あっ」
「え?」

ベッドの上でヒロトが風介に抱きついていた。
まあでもいつも俺はこんなんで怒らない…けど、ここで俺が怒ったら、風介はどんな反応をするんだろうな。…面白そう。俺は少し低い声でこう言った。

「人の部屋で、お前ら何してんの?」

「晴矢、これは、違……っ」
「もういい」
「っ晴矢!」

俺が少し乱暴に、しかし扉がぶっ壊れるのは嫌なのであまり大きな音を立てずドアを閉めて歩き出すと、それからすぐ風介もドアを開けてついてきた。あ、ドア開けっ放し…そんなに余裕無いのか風介。ちらっと見えた風介の顔。やべ、泣きそう。可愛いな。

「ま、待って晴矢!私が……私が悪かった!」

風介は俺を呼び止めるのに必死だった。でもそれ以上に俺は笑いをこらえるのに必死でした。俺のせいだけどちょっと可哀想だしそろそろ許してやるか!

「……っくく、風介……!」
「え……、」

風介は何で俺が笑ってるのか分からない、といったような顔をしていた。

「…風介、かわいい」
「な………まさか、からかったのか!?」
「ははは、悪い」

俺が笑いながら答えると、風介はいきなり俺に背中を向けて、歩いて行ってしまった。ずんずんと来た道を戻って行く風介の耳は赤かった。やっぱり、可愛い。

俺はすぐその後を追いかけた。そして向かった先は俺の部屋で。いつの間にか閉まっていたドアを風介が開けると、ヒロトはまだベッドに腰掛けていた。

「ヒロト!」

風介が叫んだ。


やっぱり意地悪したくなるよな
(風介が可愛いすぎるのが悪いんだ)



おまけ。
ヒロト視点


風介が晴矢についていって数分。風介がドアを開けっ放しで晴矢を追い掛けていってしまったのでさりげなく閉めてもう一度ベッドに腰掛ける俺。優しいね。

なぁ風介悪かったって!晴矢なんか知らない!
そんな話声が聞こえたかと思ったらバンッ!というドアが開く音と一緒に帰ってきた。……どこの夫婦喧嘩だい。

「ヒロト!」

風介のその赤い顔で言われても、ちょっと迫力ないよ。実は、俺も晴矢を本気で怒らせたかって心配だったんだけど、最初にドアを閉めた時の晴矢の顔が笑ってたのが分かったからね。良かった。風介は混乱してたのか見てなかったみたい。



おわり。

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風介とヒロトが何をしていたのかは、ご想像にお任せします。

20110710 加筆修正