ちょっとえろい
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「おい!ちょっ…どこに連れて行く気だ!」


こいつは相変わらず、黙ってわたしの手を引っ張っていく。


「バーン、君ちょっと今日おかしいぞ!さっきだってあんなに嫌っているグランとこそこそ話したりして!…何かわたしに隠してるだろう!と、いうか話聞いてるのか?何故わたしを無視するんだ!バーン!……チューリップ!効果音!とりあえず返事をしろ!」

返事が無い、ただの屍のようだ。………じゃなくて。今日こいつ本当どうしたんだ…頭でも打ったのだろうか。いつもならチューリップやら効果音と言われた時には即俺はチューリップじゃねえ!とか効果音って呼ぶな!とか何かしら返ってくるのに……

はぁ……とため息を吐き諦めかけたその瞬間、耳の少し上がふにゃふにゃと擽られるような感覚。

「っ、? …な、ちょっ………っあ」

歩きながらだが、わたしの先程までとは全く違う、焦ったような妙な声を聞くと流石にバーンも後ろを振り返った。

「どうかしたか……ってええ!?」
「は、………え?」

バーンが足を止めて、まじまじとわたしの顔を見る。そしてわたしの頭に手を伸ばした。

「…………へー……成功したじゃん、」

そんな事を言いつつ、私の頭を触る。ん?頭?…違う。これは、ちがう。

「…ねえ、バーンは何を、触ってるんだ……?」
「強いて言うなら耳、だな」
「みっ耳なわけないだろ!わたしの耳はここだ!」

自分の目の横にある耳を触りながらそうわたしが噛み付くと、バーンは私の手首を手に取って、恐らくバーンが触っていたであろうその場所に、私の指を触らせた。

「ほら、耳」
「? 耳なんて……」

っあったあああああ!

「わあああ!何だこれ!耳?バーン、どういう事だ!」
「え、えー…まぁ、内緒?ちなみにそれ猫耳だからな!」
「ふざけるな…どうにか…っもういい今はとりあえずいい、これはいつ戻るんだ!」
「知らねー」

何で知らないんだ、…それでも絶対原因はこいつかあいつだ!くそ………
「ガゼル、お前なんか顔赤くない?」
「あ、赤くなんか…っ」

手で顔を隠したら、猫の方の耳を触られた。迂闊だった……上の耳を塞いでた手を離したら、その耳を触られるなんて目に見えていたのに。
そして、

「ひゃっ」
「え?」

いいい今、何か変な声が
すぐに口をぱっと片手で覆った。

「なに今の……この耳、すげえ」
「おい待てやめろっ、う…さっ触るなっ」
「別にいいだろ」
「良くなっあ…いやだ、…っバーン!」

嫌だ止めろと言っても未だにバーンはふにふにとわたしのもうひとつの耳を弄ってくる。よく分からない感覚にわたしの抵抗は虚しく、バーンの手によってされるがままになっていた。

「そんな顔で睨まれても……可愛いだけだぜ?」
「うるさい、しね……っ!」


ねこみみ!
(お持ち帰り、お持ち帰り。)
(あっちょっ持ち上げるな!)


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1度はやってみたかったんです猫耳。
お持ち帰りー!