静かな生活(4/4)




「そ、そう…やろうか……?」

そんな事を言われるとは思いもよらなかったわしは、小娘にどう返答していいかわからず、それしか言えなかった。

「はい!」

小娘は、尚も手を動かしながら、いつもの様に元気よく返事をした。



そう、元気に言い切られると、わしもこう、大人の男としての立場っちゅうもんが…



と、少し肩を落として項垂れていると、小娘は最後の洗濯物を畳み終えそれを置くと、大きく伸びをする。

「ほがぁにかぇ…」

ぼそっと呟くと、小娘は腕や腰を伸ばしながら答えた。

「でも、龍馬さんはそれだけじゃないから…。それに、私はそういうところも………あ…」

そこまで言って小娘は黙り、そろそろと腕をおろして腿の上に手を置く。

「ん?」

わしが首を傾げると、小娘は黙ったまま、しまった、と言うような顔をして、俯いた。
垂れる髪の隙間から覗く肌が、赤く染まっているように見えて、わしは指で髪を一束、ひょいと掬った。
顕になった頬は、やはり紅潮していて、小娘はわしと目を合わせないように積まれた洗濯物に視線を落としている。

「そういうところも…なんじゃ?」

わしがにやにやとしながら聞くと、小娘は、意地悪、と小さく呟き、眉を下げてわしをちらりと見ると、すぐに顔を背けて更に俯いた。

「……うむ…やはり、可愛いのう!!」

「えっ……わぁっ」

大久保さんの言うことも一理あるのは確かだが、やはり可愛いものは可愛い!
わしは、わはは、と笑いながら小娘の頭を勢い良くくしゃくしゃと撫でる。

「りょ、龍馬さんっ…やめて…っ」

小娘は、わしの手を押さえて抵抗する。

「おしっ…小娘!ちっくと休みぃや!」

「え……えっ…!?ちょっ……」

わしはその手を掴み、そのままこちらへ引っ張ると、胡坐を掻いているわしの足へ小娘の頭を乗せた。

「膝枕!いつもしてくれるき、それのお返しじゃ…にしし」

「にしし…じゃないですよ、龍馬さんっ!龍馬さんの方が疲れてるのに!」

「ほがぁな事はないきね!たまにゃぁ、甘えてもらわんと…つまらんよ」

わしは小娘が起き上がろうとするのを頑として阻み、半ば強引に頭を撫でる。小娘はまた頬を染め、口を尖らせて、不満気にわしを見上げた。

「でも…」

「ほれほれ、おとなしく寝やぁ!」

「だって…」

少し膨らんでいる小娘の頬を軽く突く。
しかめっ面の小娘は暫く黙り込んでいたが、やがて諦めたように溜息を吐いたかと思うと、笑みをこぼした。

「……暖かい…」

「ん?あぁ、今日はまっこと良い天気やきね…」

と、表に目をやると小娘はくすくすと笑う。

「違いますよー。龍馬さんが、暖かいんです」

「…ほうか…」

屈託なく笑う小娘の言葉に、わしはどうしてだか妙に照れてしまい、それを誤魔化す様に小娘の髪を指にくるくると絡める。

暫くそうしていると、小娘は瞼が重たくなってきたのか、何度も目を閉じたり開けたりしながら、眠そうに目を擦る。

「ほれ、我慢せんで、寝てえいよ…」

「すいません……。なんか、龍馬さんといると…安心しちゃって……」

「…そうゆうてくれると、嬉しいのう」

小娘は徐々に目を閉じてわしに身を預けると、間を置かずにすうすうと寝息を立て始めた。

「ま、安心し過ぎられるのも、大人の男としての立場……って、ほりゃぁ、もうえいか…」

気持ち良さそうに寝息を立てる小娘の髪をさらさらと撫でながら、雲が流れる空を仰いだ。


すぐ傍に居るだけで、こんなにも安らげる。ほんの一時でも、こうして静かに暮らすことができる…


まっこと小娘には、感謝したち、しきれんきね!







でも、
それはお互い様


安らぎをくれる貴方に
心からの感謝を




〜終〜







素敵サイト「自己満足な世界」のしんご様より同盟発足1周年記念のお祝いに頂戴した夢小説です。
龍馬さんに膝枕をしてもらうとか……////
ドキドキMAXでかえって眠れなさそうです(笑)
しかもいつもは小娘ちゃんが龍馬さんに膝枕してあげてるんですね!
ふわふわの髪の毛触り放題じゃないですかっ!(≧▽≦)
自分の気持ちをストレートに表現してくれる龍馬さんが大好きなので、我慢なんてしないでいつでもどこでも「かわいい」って言ってもらいたいですよね。
ひねりなんていりませんからー(笑)
龍馬さんは絶対お日様のニオイがすると思います!
あったかくて優しくて安心するニオイです(*^v^*)
しんご様、心がぽかぽか温まる素敵なお話をありがとうございました!
(2012.06.04)




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