::学パロで恋バナもどき

とある休み時間。

斜め前に集結している男子がわいわいがやがやと珍しく話に花を咲かせている(先生はいつもナチュラルに紛れ込んでいるがもはや何も言うまい)。しかも珍しい組み合わせもちらほらと。なんなんだろうか。

……気になる。

「いるわけないよあんな猪女に。この間も素敵な勘違いされてワタシ追いかけまわされたよ。いい迷惑ね」
「まあ馬鹿だしな」
「うん、馬鹿だし。救いようのないお馬鹿だし」

何の話だ?フェイタンとかシャルにぼろくそ言われてる女の子が可哀想だ…。あいつらに面と向かって言われたら立ち直ることはできないだろう。しかしいい年したしかも男がなんて陰湿な陰口を…。

「でも聞いたか?あいつ影で人気あるらしいぜ」
「またまたぁ。フィンは冗談下手だよねぇほんと」
「まったくだ」
「なに!?なまえが馬鹿だと!!?」
「団長ツッコミ遅い上に声でかい」
「す、すまん。………は、なまえに彼氏!!!?」
「だから遅いって団長」


………。


私だあぁああああ!!!!

「お、おおお前らなあ!!静かに話を聞いてれば好き放題言いやがってよー!馬鹿で悪かったな。私にだって恋人の一人二人いるに決まってるじゃないのさ!!」
「「「「えぇ!!?」」」」

ふっ驚きやがれこのやろうめ。生まれてこのかた負け犬だと思ってんなよこのやろうめ!

目を真ん丸にして驚く一同。あのフェイタンだって眉をぴくりと動かした程だ。私のダーリン発言に衝撃を隠せないのだな!ふふん、なんかこの優越感、クセになりそうだ。

「ま、まてお前ら。あのなまえだぜこのなまえ!どうせ見栄張ってるだけだぜ!な、なあクラピカお前もそう思うだろ!?」
「あ?あぁ…そ、そうだな。このような女性の品もないなまえに恋人ができるわけないだろうな」
「あぁあ信用ないって辛い…そしてクラピカが辛辣…クラピカが…あのクラピカ…」

あれだよね、クラピカのほうが綺麗な顔立ちしてるし落ち着きあるし肌つるつるだし女子から人気だし……ねえ?クラピカに言われればへこむよね?何も言いようがない虚しさが私を包む。
そしてレオリオとクラピカの言葉に「そ、そうだよなあ!」と納得する一同。一人くらい否定してくれないのが悲しいところだ。

しょうがない。こっちだって最終手段出しちゃうよ!

「なんだよ皆して!ちゃんと写真だってあるんだからね!ツーショットだよツーショット!ランデブー真っ最中な写真を見るがいいさ!ほれ!!」
「「「「えぇええええ!!!??」」」」

今日君たちタイミングいいねぇ。
誰にも見せたことのない待受画面を皆に見せつける。どうだ参ったか。私の正面にいたシャルが目を見開きながら携帯を強奪。あ、ちょっと乱暴に扱わないで買ったばっかりなんだよ。そして携帯争奪戦が始まる。もみくちゃにされた。私の入る隙間がない。蹴り出された。一応私がメインのはずなのにこれなんて仕打ち。マイ携帯はいずこ。

「……………ヒソカみたい」
「「「………」」」

えぇ!?なんでみんな止まった!?

ガンッと何か落ちる音がした。携帯じゃなかろうな!?

ぎぎぎぎと効果音がつくような動作でこちらに顔だけを向ける皆さん。信じられないという顔をしている。ムンクのような顔に変形しちゃった人もいる。私にとってお前らの足元に落ちている亀仙人のキーホルダーがついた黒い携帯が私のだったということに驚きだ。

「つか誰だああ!ヒソカみたいっつったの!!あんな変態と一緒にしないでくれる!?マイダーリンは紳士なの!見てよこのふわっふわな髪の毛!ヒソカなんてワックスべったんべったんなんでしょ!?あと優しそうなこの目!!あんな逝っちゃってる奴と違うから!!」
「なまえ、お父さんは許しません!教師と生徒の不純なお付き合いは絶対許しません!」
「誰もお前に育てられた覚えはありませんそれでも担任か。死んでもあんな変態と付き合うもんですかこのすっとこどっこい」

落ち込むクロロ先生をよそによっこいしょとみんなの足を掻い潜って携帯を拾う。よかった傷ついてない!でもみんなの指紋がたくさんくっついて一種のアートになっちゃっている。…きたね。

「いいですか、次に私の彼を侮辱するようなことしたら…」
「…したら?」
「………」
「………」
「…いい言葉が見つからなかった!」
「馬鹿だ」
「おーいクラピカとフェイタンがいないぞ」
「あの二人ならヒソカ殺すって言ってどっか行っちゃったよ〜?」
「うわああああやめてええええ!!!あいつにだけは言わないでえええ!!私がそいつら絞めたるわこんちくしょうめええ!!つか違ああう!私のダーリン違う!ド○ルド様だからあああ!!」

アッハッハッハッハとダーリンの笑い声が聞こえてくるよだめだもうなんてことをしてくれるクラピカとフェイタンめ!
シズクちゃんは興味なさそうに私たちを傍観していた。

「つかお前ら両想いなのか?」

フィンクス先生のもっともな疑問にぐさっと心に何かが刺さる。

「○ナルドって本当にいるの?あぁ、生き物としてね。この写真だってベンチに座ってるただの置物でしょ?」

ぐさり。

「CMにだって出てるじゃねぇか。どのテレビ局にも引っ張りだこで忙しいんだよ。………………………夢壊してやるなよシャル」

ぐさぐさぐさっ。

「で、真相はどうなんだ?場合によっちゃお父さん許さないからなっ」

まだそのネタ引っ張るか担任。

クロロ先生を筆頭にさあさあさあさあと迫ってくる皆さま。これ軽く蛇に睨まれた蛙状態なんじゃ…。押し潰されそうな威圧感となんか皆に痛いとこつかれて悲しくなった心が入り交じってもうどうにでもなれよ的な感じで涙目になってぶっちゃけた本音を告げた。

うん、ぶっちゃけた。

「…ま、まあ……私の一方通行な愛?みたいな………てへ」

スパコーン!

何故かいつの間にか後ろにいたクラピカとフェイタンに吹っ飛ばされました。いやん。

恋愛するもしないも自由じゃないか!

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