朝の校門、今日は木曜日。 いつもより派手に上げたスカートからは、いつも以上に足がちらつく。周りの男子の目線がウザい。今日は木曜日。 「みょうじ、待て。」 待てと言われて待つ奴がどこにいる。私は風紀委員の忠告に足を止めることなく、校門を通り抜け校舎へ向かう。 「待てと言っているのがわからんのか!」 先ほどよりも大きな声で呼び止められ、がしりと腕を強く掴まれた。女の子なんだから少しは手加減してほしい。痛いんだけど。 「真田、おはよ。」 振り向いてくすっと微笑めば、真田は頬を僅かに赤らめて私の腕を掴んだ手を振り解いた。咳払いをして、眉間に皺を寄せる。 「スカートの長さが短すぎる、けしからんぞ!」 「はいはいはい。」 そう言ってスカートの折り目を一つひっくり返してパンパンと叩いて皺を伸ばしていればさらに怒号。 「返事は一回でいいと何度言ったらわかる。」 「へーい。」 真田が二つ返事を嫌うことは百も承知だ。それを注意することも勿論。だから、知っててやっている。何度、とは本当に何度目かわからない。 「全く、返事は"はい"だ。何度言えばわかる!」 「わかんないよ。一生わかんない!」 真田の言葉に激しく噛みつけば、周りがざわざわこっちに視線を向ける。私と真田はお互い睨み合ったまま。 「お前がこのことを解しかねるままならば、俺は実に不愉快だ。」 「そーかい、なら一生私の隣で教えてよ。ねえ、真田。」 不敵に微笑めば、真田は一瞬言葉を失い、顔を真っ赤にして目を見開く。くすくす笑いながらまじウケるーと一言残して立ち去ると、背後からけしからん!!という真田の怒鳴り声が聞えてきた。スカートを短くするのは実に不愉快だけれど、赤面した真田は、実にいい報酬だ。 |