私は知っている。月曜日の昼、決まって彼はここに来るのだ。


それは昼休みが始まってすぐのこと。彼は決まって図書館に来る。そして窓側の、大きな欅の木が影をつくる場所に座るのだ。しかも、それはなぜか月曜日。逆に言えば月曜日以外は彼が昼に図書館に来ることはない。

この学校の図書館は少し小高くなった土地に建った、教室のある校舎とは別棟の建物の3階、最上階にある。つまり、学校で一番高いところにあるのだ。そのおかげもあり、図書館の窓から見える景色は、それはもう、美しい。


そんな窓側の席に彼は今日もやってくるのだろう。そして私は柄にもなく、待ち伏せ、というものをやってみるのだった。いつも彼が座る席の、隣の隣の向かいの席。ここが私の今日の特等席だ。


しばらくすると、彼は図書館にやってきた。そして、私の予想通り、その席に腰を掛けた。やった、と何がやったなのかは自分でもよくわからなかったが、彼が私の期待した行動をとったことに純粋に喜んだ。そう浮かれてしまって、つい彼を目で追ってしまった。そして、


「今日、お前がその席に座っている確率は97%だった。」


目が、合ってしまった。私がつい浮かれた行動をとったばかりに、彼を目で追っていたことがばれてしまったのだ。しかし問題はそれだけではない。私がこの席に座ることを、どうやら彼は予想していたらしい。なぜだ、私には彼がここに座るという統計に基づいたデータがあるのだ。それに反し、私が彼の前でこの席に座ったことなど一度もない。にも関わらず、彼がなぜ、私がここに座ることを予測していたのであろうか。


「なぜわかったのか、という顔をしているな。」


彼はそう言い終えると、口に弧を描いて笑った。そりゃあそうだ、でなければ目の前にいる柳くんは、ただのエスパーになってしまうじゃないか。なぜ、私がこの席に座るということを彼は知っていたのだろうか。


「お前の視線を感じていたんだ。だから敢えて、月曜日のこの時間に、この席にわざわざ座っていた。」


そう言うと、彼は手にしていた本をぱらぱらとめくった。ああ、そうか、全部ばれていたんだ、柳くんに。なんて恥ずかしい。



「そして、俺も君に興味があった。B組のみょうじなまえさん。」



この際、なぜ柳くんが私の名前を知っていたかなんて、もうどうでもいい。




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