次の日の昼休み、私たちは部室にて喫茶店についての話し合いをしていた、いやする予定だったんだ。

「まじかよ…。」
「よく似合っているぞ、丸井。」

奥から現れたブン太は黒のベストと燕尾服に、手には手袋といった礼服姿だった。そうなのだ、これは…。

「生徒会からの要請とあらば、仕方あるまい。」
「うん、いいんじゃないかな、執事喫茶。俺は構わないよ。」


そう、執事喫茶である。


私たちは以前の話し合いから生徒会に「喫茶店」と要望を出していたのだが、生徒会の方からはなぜか「執事喫茶」と訂正された書類と、執事のコスチュームが届いたってわけだ。蓮二曰く、学園祭担当の役員が盛り上げるためにと勝手に企画を確定していたらしい。

「ん?この衣装、袋に松山って書いてあるぜ?」
「嘘、私まで!?」

ジャッカルの手にしていた、まだ袋に入ったままの衣装を見れば松山と書かれたシールが貼ってあった。松山なんて私ぐらいしかいないじゃんか…。


「フフ、似合ってるよ侑紀」
「…あんま嬉しくない。」

更衣室の奥で着替えを済ませる。みんなと同じ黒のベストに燕尾、白い手袋、あとは髪を束ねるように入ってたと思われる白いリボンで髪をくくった。みんなのいる広間に戻れば、周りからはなんだ似合ってるじゃないかとか一応褒め言葉が上がった。全く、しょうがないから着てやったわよ!だけどなんで私だけ男装?まあメイド服ははもっと嫌だけどね。

「あとは内装についてだが、衣装同様、生徒会の方がある程度は物品を支給してくれるらしい。」

私たちは普通に喫茶店として準備を進めていたわけで「執事」といったキーワードは何も内装に取り入れてなかったのだが、生徒会もただ企画をでっち上げて私たちに押し付けてくる気ではないらしく、一応責任を持ってこの企画を遂行してくれるらしい。でも当たり前っちゃ当たり前か。

「そろそろ教室に戻ろうか。侑紀、先に着替えておいで。」
「うん、ありがと。あ、そうだ蓮二。」
「何だ。」

蓮二の方に近づいて行ってみんなに聞こえないように内緒話。そう、ミスコンの話だ。蓮二は生徒会役員だから会長に会う機会もあるだろう。彼には悪いけど。

「わかった、一応伝えはしよう。」
「お願いね。その件は私、承諾できないから。」

季科杏子にいつ会えるかもわからないのだし、とりあえず使える手はすべて使っていかなきゃ。ミスコンなんて願い下げよ。絶対やらないんだからね!







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