授業が終わってうーんと伸びをしていると、目の前に真咲がにこにこして立っていた。ああ、お昼か。早いな。


「あれ?侑紀、幸村くんは?」
「ん?ああ、幸村?お昼はテニス部で食べるんだって。」


私の隣の席はお昼になると真咲の特等席だったわけだけど、幸村が学校に来てしまった以上そうとはいかない。だがあいつは、幸村くんお昼食べよ〜的な女子に昼はテニス部と食べるからと言い残して去っていった。所謂盗み聞きだ。というわけで、いつもの日常の完成ってわけ。今日一日はまるで非日常だったもん。これからこんなのが続くと思ったら、つらくて泣けてくる。


「なんだー残念。私も侑紀のつてで仲良くなろうと思ってたのに。」
「はあ、なにそれ。そんな仲じゃないし。」


うそつけー、なんて笑いながら私をべしべし叩いてくる。実はこれ、地味に痛かったりする。本人は気づいてないだろうけど。


「だって侑紀、テニス部のマネージャーやるんでしょ?」
「・・・なんで知ってるの。」
「だって朝あんなに大騒ぎしてたじゃん!いいなーうらやましい!」


ああ、そうか。そうだ。あの会話は教室中に筒抜けだったんだ(それで山Bにも注意されたんだっけ。)。本当にやらかした。これじゃあっという間に立海中に噂が広まる。今まで地味に生きてきたのに、今日一日で私は有名人じゃないか。

「知ってた?テニス部ってマネージャー今まで誰も取ってなかったんだよ。」
「え、何それ!それで大丈夫だったの?」
「うーん、わかんないけど。でもマネージャー取るといろいろ面倒くさくなるから、誰もいないはずだったと思うんだけど。」

テニス部は、全国レベルだ。お遊びでやってる部活ならともかく、そんな部活にマネージャーがいないなんてどうかしてる。確かにあの状況でちゃんとした(仕事目当ての)マネージャーを取るのは至難の業だろうけど、でもいないなんておかしい。

「それ、隠れマネージャーが絶対いるって。」

そう言うと真咲は爆笑した。侑紀ってたまに天然だよね!いや、私はいたって本気なんだけどな。

「おーい、侑紀いねえ?」

あ、ブン太だ。





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